2018年03月22日

極微量でもグリホサートは危険です

発ガン物質でありながら大量に散布されているグリホサート

 2015年に、WHOの国際癌研究センターは、グリホサートを発癌性物質だとした(1)。にもかかわらず、あいもかわらず、世界で最も使われ続けている(1,3)。米国だけでも毎年約13万6000tも散布され、とりわけ、中西部のトウモロコシやダイズが栽培されている地域で多い。

 アイオワ州、イリノイ州中部、インディアナ州、オハイオ州は、米国のコーン・ベルトの中心地だが、ここで国内の半分以上が生産されている。例えば、インディアナ州では、200万ha以上のトウモロコシ、約240万haものダイズが作付けられている。そして、米国のトウモロコシ、ダイズ、菜種の90%以上はグリホサート耐性の遺伝子組み換え農産物となってしまっている(3)

ごく微量のラウンドアップでもネズミの肝臓や腎臓は影響を受ける

Amy-Cornell.jpg ラウンドアップもグリホサートもモンサントは安全だと主張し続けている(1)。インディアナ州アグリビジネス委員会(Agribuiness Council of Indiana)の委員長を務める、インディアナ大学のエイミー・コーネル女史は、グリホサートは安全だと主張する。

「グリホサートは世界で最も研究されている化学物質のひとつです。何十年も農民たちや住宅で使われ問題がありませんでした」(3)

 けれども、いま、科学者たちはその安全性を疑い始めている。いくらかの動物実験からは、グリホサートが先天性欠損症を引き起こしたり、DNAのダメージが受けることが見出されている。それだけではない。ガン、内分泌混乱、生殖問題等、多くの健康問題とも関連するといわれている(3)。肝臓や腎臓に障害が生じることがエビデンスから判明している(1)。グリホサートは、モンサントの除草剤、ラウンドアップの主成分だが、ラウンドアップのおかげでガンにかかったと主張する農民たちが何百もの訴訟を引き起こしている(3)

 ロンドン大学の遺伝子発現とセラピーグループのマイケル・アントニュー博士が率いるイギリス、イタリア、フランス人からなる国際グループは、ごく微量であっても、長期間にわたってグリホサートを摂取するとどうなるのかをネズミで実験してみた。米国の飲料水での許可基準以下のごく微量のモンサントのラウンドアップをネズミたちに飲ませ、それが腎臓や肝臓の遺伝子発現にどのような影響があるのかを調べてみたのだ。

 2年の研究で明らかになった結果は凄まじい。25%も体重が減少したり、体重の25%以上ものの腫瘍ができたり、出血したり、衰弱(prostration)したネズミたちがでてきたのだ。

Michael-Antoniou.jpg「ラウンドアップを与えたネズミの肝臓や腎臓では、4000以上も遺伝子の発現レベルが変化していました。ごく低濃度であっても、ラウンドアップは、潜在的に肝臓や腎臓の機能にダメージを与えることがありえます。どれだけ深刻かはわかりませんが、我々のデータからは長期的なリスクがあると言えます。このネズミでのネガティブな影響を目にすれば、非常に悩むはずです。この化学製品の使用を承認すべきかどうかと考えるはずです」とアントニュー博士は言う(1)

 ワシントンD.C.あるNGO、脱農薬(Beyond Pesticides)のニッチェル・ハリオット女史は、非常に低濃度でも影響がでたことが重要だと指摘する。

「この研究は、公衆衛生への配慮が必要なことを意味します。」

 実際、近年、スリランカ、インド、中米では広範囲にわたる腎臓病が発生しているが、科学者たちはその原因がグリホサートではないかと懸念している(1)

農村女性の90%の尿からグリホサートが検出

 もちろん、グリホサートはラウンドアップの主成分だが、ラウンドアップの恐ろしさはそれだけではない。ニッチェル・ハリオット女史はこうも語る。

「ラウンドアップの不活性化学成分のひとつが生殖問題と関連していることを研究は示しています。それは、臍の緒の細胞でも見つかり、胎児の初期成長にも影響を及ぼします。ラウンドアップは、グリホサートよりもさらに有毒なのです」(1)

 Shahid-Parvez.jpgラウンドアップは大量に散布されているだけに、その残留物は、環境にも存在し、収穫物や日々消費される食品中にも見つかる。はたして人間へのリスクはないのだろうか(2)。インディアナ大学フェアバンクス校のシャヒド・パルヴェッツ准教授らは、中部インディアナ州の71人の妊娠女性を対象に検査をしてみた(3)。被験者の平均年齢は29歳(2)。ほとんどが白人だったが、93%から尿中に検出限界(0.1ng/mL)以上のグリホサートが検出された(液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析)。そして、平均濃度は3.40ng/mL(0.5〜7.20ng/mL)だった(2)

グリホサートの酸化ストレスが原因か、妊娠期間が短くなる

 しかも、胎児の発育指標(出産時の体重)と尿中のグロホサートとには相関関係が見られなかったが、妊娠期間の長さとではかなりの相関関係が見られ(r =-0.28、p = 0.02)(2)、高濃度であるほど妊娠期間が短い傾向がみられた。この結果は、環境健康誌(journal Environmental Health)で2018年の3月に発表されたばかりで、米国内での妊娠女性とその妊娠期間に対するグリホサートの影響の最初の研究だが(3)、印鑰智哉氏は「グリホサートを摂取してしまった女性は妊娠期間が短くなっているという研究報告は米国に大きな衝撃を与えている」と書く(4)

 グリホサートは、妊婦女性の酸化ストレスを刺激するかもしれない。それが、妊娠期間が短くなることにつながるかもしれないとパルヴェッツ准教授は言う。妊娠期間が短ければ、赤ちゃんの脳の発達や学習力が低下することにつながる。赤ちゃんへの影響は生涯に及ぶことになる(3)。最もこの研究はまだ小規模で、人種的にもほぼ全員が白人であったことから限界がある。そこで、さらに多様な人種で、多様な地域でのより大がかりでの類似した研究計画を立てているという(2,3)

食べ物が原因〜有機を食べればグリホサートは避けられる

 准教授らは飲料水も検査し、グリホサートが検出されないことを見出す(2,3)

「これは、汚染された大気やダストを吸い込むことが被曝経路のひとつであって、それが農村でのグリホサートの尿濃度を高くしていることを示唆します」。

 准教授によれば、被験者となった女性の誰も農業には従事していない。したがって、食品からの摂取が最も疑わしい。

「もし、食べものを通じてグリホサートが摂取されるとすれば、食べ物が誰もが被曝するルートであれば、たとえ、この研究は中部インディアナ州でされたものだとしても、これは地域問題にとどまらず、全国、あるいはグローバルな問題だということになります」(3)

 この結果を受けて印鑰氏はこう主張する。この記事では「被ばくの経路が食を介したものであるのなら、これは地域の問題に限定されず、米国全土いやグローバルな問題となる」としている。さらに言うのであれば、米国や南米等、グリホサートを大量に使う地域からの食の輸入に依存している国々の人びとにとって由々しい問題であるといわざるをえない。それは日本、中国、アジア諸国が中心だろう。

 EUの主要国はグリホサートを可能な限り、早急に禁止して排除する姿勢を見せている。スリランカでもアラブ6カ国も禁止し、エルサルバドルも禁止に向かう。

 しかし、日本政府は最大400倍の規制緩和。TPPの行方によっては変えることがさらに困難になっていくかもしれない。すでに無効を宣告された害だらけのものが日本やアジアの諸国に押しつけられるとしたら許せるだろうか?。今後、グリホサートがどれほど問題なのか、集中的にまとめたいと思ってます。日本も脱グリホサート、脱農薬、脱工業型農業=アグロエコロジーへ!(4)

 印鑰氏の主張は、この一文だけを切りとってみると、「アグロエコロジー教」で人々をアジテートする危ない教祖のようにも思える。けれども、そこには、科学的エビデンスがある。嬉しいことに、パルヴェッツ准教授は、こう付け加えている。

「有機食材を食べている女性たちの尿中のグリホサート濃度が抑制されているとのエビデンスがあったことを申し添えます」(3)

編集後記

 2018年3月17日のイベントには、338人もの方々に足を運んでいただいた。本当にすごいことだと思う。とはいえ、今回、参加された方々は、もともと食や農業に関心があったり、想いがあったりする方々が多かった。

 そして、その人々であれ、内容が濃かっただけに、大量の情報を消化し切れず、ある程度の問題意識や予備知識がないと理解し切れないという声が多かった。「専門用語もあるので、初級編、中級編みたいな感じでやるのもありかと思った」という感想も寄せられている。

 そこで、印役智哉氏のFacebookを見てみると日々、膨大な情報がアップデートされているのだが、これをブログというカタチで私なりに補完してみたい。つたない頭の理解を補強するための松葉杖。いわば「印鑰補完計画」である。

 まずは、第一弾。ごく微量のグリホサートが危険だという話。印鑰先生は、有機農業は、これまで効用ばかりをといて来たがそれでは差別化が図れない。安全ならばどこもみなそれを口にしている。それ以上に、危険性をもっと訴える必要があるのではないかと主張されていた。実際、氏の2月7日のフェースブックには、『何が私たちの子どもたちを病気にしている?(What's Making Our Children SICK?)』を書いた、カリフォルニア大学の医療人類学のアダムス教授のインタビュー記事がでているのだが、そこで、教授が「これまでは有機が良いと感じてはいましたが、非GMO食品を食べることが危険だとは決して考えませんでした。ですが、いまは、有機だけを食べようと試みています。腸を健康にするためには慣行食品は毒だからです」と語っているのが印象的だった。そう、GMOは危険なのである。だとしたら、GMフリーゾンを願うのがあたりまえの人間の心情と思うのだがどうであろう。
  (2018年3月22日投稿)
【用語】
国際癌研究センター(IARC=International Agency for Research on Cancer)
インディアナ大学フェアバンクス校(Indiana University Fairbanks School of Public Health)
【人名・画像】
エイミー・コーネル(Amy Cornell)女史の画像はこのサイトより
マイケル・アントニュー(Michael Antoniou)博士の画像はこのサイトより
シャヒド・パルヴェッツ(Shahid Parvez)准教授の画像はこのサイトより
ニッチェル・ハリオット(Nichelle Harriott)女史
【引用文献】
(1) Alexa Erickson, Study Finds Long Exposure to Tiny Amounts of Monsanto’s Roundup Damages The Liver & Kidneys, July 7, 2017.
(2) Parvez, S., Gerona, R. R., Proctor, C., Friesen, M., Ashby, J. L., Reiter, J. L., ... & Winchester, P. D., Glyphosate exposure in pregnancy and shortened gestational length: a prospective Indiana birth cohort study, Environmental Health, 17(1), 23.
(3) Brian Bienkowski, Glyphosate linked to shorter pregnancies in Indiana women, Environmental Health News, Mar 16, 2018.
(4) 2018年3月19日:印鑰智哉氏のFacebook
(5) 2018年2月7日:印鑰智哉氏のFacebook


posted by José Mujica at 01:33| Comment(0) | GMO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする