2018年06月26日

国際連帯で種子を守る

はじめに

 NPO法人アジア太平洋資料センター(略称:PARC)という団体がある。NAGANO農と食の会では、3月17日に山田正彦元農相と印鑰智哉氏を講師に学習会「ママ、これ食べても大丈夫?」を開催した。そして、会場ではドキュメンタリー映画『種子からみんなのもの?それとも企業の所有物?』を上映した。実はこれを製作したのがPARCであり、映画の編集監督をしたのが印鑰智哉氏である。同映画は3月末に都内で完成記念上映会が開かれたのだが、PCRCの内田聖子事務局長の好意で、試写会に先駆け愛知と同日に全国で初上映できた。このPARCの主催で印鑰智哉氏を講師とした種子に学習会が都内で開かれる。これは、聞かなければならない。ということで上京して講演を聞いてきた。インスパイアされることが多くあり、実りある出会いもあったのでわかちあいたい。

なぜ種子の学習会なのか?

 アールセップの中間会合が日本で行われる。これはTPPともかなり重なる自由貿易協定なのだが、政府が情報を出さないし、メディアも扱わない。そこで、アールセップの問題の関係で、国際NGOグレインからインドネシアのカティーニ・サモンが来日され、デモをしたり市民社会の声を交渉に届ける努力をしようとしている。インドも農民運動が強く、ハイデラバードで交渉があった時も1000人ぐらいの農民が参加していた。

 そこで、これと関連して反GMO、アグロエコロジー、種子等の活動をするためにこうした企画を考えた。インドのシャリニ・ブタニさんも来日を楽しみにしてビザを取っていたのだが、父親が脳梗塞で倒れた。そこで、話してもらいたかった内容をビデオ録画で放送できないかと相談をして水曜日にネットでインドとつないでビデオ会議を行い、それを録画して字幕をつけた。彼女のレクチャーは30分だが、印鑰智哉氏と農民連の斎藤敏之氏の解説をしたいと思っている。

シャリニさんのビデオ放送要旨

バイテクではなくこれからは伝統の知恵とアグロエコロジー

Shalini-Bhutani.jpg 公正なフードシステムのため、フードやシードで日本と交流が可能である。1995年のWTOによって、インドは最低基準を強いられた。そして、25年が経過したが、それをはるかに超える経済システムが登場して来ている。インドにはローカルのシード・システムがある。日本もプライドが持てる食があるが、インドにもアグロバイオダイバシティがあり、バイオカルチャーがある。種子は中心で神聖なものである。今も無料である。

 1996年に種子法が出来たが、それは種苗を規制していない。高収量種子にだけ適用されるようにしている。しかし、新世代の種子法は、農民の種子保存を規制する可能性がある。これがインドの市民社会が懸念していることだ。

 また、2002年にBTコットンをインド政府が認めた。環境省が科学技術省の協力を得て認めた。そして、食用GMOを入れる動きがある。GMO唐辛子やGNOナスである。けれども、これからは、伝統の知恵、アグロエコロジーが大切である。忘れられてきた農民の血をローカルカルチャーを取り戻すチャンスである。

インドでは日本政府がISDで訴えている

 インドには農業セクターで活動している日本企業がある。2006年現在、350社がある。クボタ・インディア、タキイ、サカタ、JTB等。そして、アジア・ジャパニーズ・バイテク・アソシエーションは、インド環境省と関係している。昨年、日産がIDS条項でインド政府を訴えた。

マネー化を克服せよ

 インドでは農民自身が知的所有権を登録できるようになった。けれども、これが農民の間で分裂を引き起こした。我々は、植物品種保護法の外側にあるべきものを探るべきだと思っている。ソリダリティ。エシカル。食文化。ダイローグが大事である。そして、種子バンク。何十万という種子がある。そして、自分たちでやれることもある。都市農業、ベランダ農業だ。

日本での種子問題~国際連帯でどう種子を守れるか?~印鑰智哉氏による解説

種子の権利を守ってきたインドに学ぶべき

 皆さん、シャリニさんのお話を伺ってどうだったでしょうか。僕は「すごいな」と。本当にこれまで、インドの運動を追って来たのだが、すごいなと。これからの日本社会を支えるためにもインドにいって学ぶしかないなと思っている。

 インドでは種子企業がモンサントに買収され、BTコットンが農家が莫大な債務を課してそれで農民が自殺している。そうした非常に困難な状況にある。そこで、やられた方ばかりを見て来たのだが、逆に政府に対して種子の権利を認めさせている。日本よりもインドの農家の方が勝利を治めていると。そこから、学ぶことが多いなと。

生命の特許権を認めていないインド

 生命の特許。アジアの農民たちが何千年もかけて育成して来たものが生命の権利、種子の権利となり、それが一企業だけに認められる。特許はもともと工業製品に認めることなのだが、それを生命にも認めるという異常なことを米国政府が始めてしまった。そのことを日本もEUも認めている。そして、米国は普通の種子にも認めている。だから、遺伝子組換え大豆の研究すらできない。一方、EUは普通の種子に対しては認めていない。けれども、インドはいずれも認めていないのである。

 さて、種子と国際連帯を考えたい。UPOV条約が1961年に作られ、当時、種子は農民たちの特権であったのが、1991年に否定された。しかし、インド政府は批准していない。とはいえ、WTOTRIPS条約(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)を結んだ。

 そして、種子企業は膨大なロビー活動を行い、同時に世界各地の種子企業を買収していく。世界の南の地域では、例えば、アフリカでは市場に依存しない農家が9割もいる。しかし、そうではない多くの地域で、遺伝子組み換え企業によるモンサント法案が襲って来ている。

 日本ではTPPを国会が批准したため、廉価な農産物が入ってくるがそれだけではない。1991年UPOV条約への参加も義務付けられている。この条約では国内法によって農家の種子の権利を制限しなければいけないのである。

 日本の種子政策の変遷を見てみると、1998年に育成者の権利を認める。種苗法は種子の権利を奪うことが法制度的には可能になっている。たねを分け合う時、それが、企業の種子であれば共謀罪となる可能性がある。そして、1999年の特許法の改正で遺伝子組換え意外の植物も特許の対処となった。育成者権利、特許は非常に強い権限である。

二つの法律から一つの法律へ

 さて、いま、日本では種苗法だけになっている。これは、企業の権利、開発した側の権利を守るものである。農家の権利を守るための法律ではない。種子法は国や都道府県の役割を明確にした法律である。それがない以上、行政の責任はどうなっているのかというと、無政府状態になっている。種子法の流れを見てみると、1991年に25年だけの新品種をカバーする法律を制定したものの、それ以外の種子を保存するものがない。そして、1998年以前は自家増殖には育成者権が及ばないこととしていたが、例外を減らしている。2004年から研究会で検討をしており、それを2018年に日本農業新聞にすっぱ抜かれた。

世界の動きとまったくズレている日本

 日本の遺伝子組換えの承認件数は2018年1月2日段階で309。米国はザルの可能性もあるので197だが、インドはBtコットンは認めたものの11でしかない。遺伝子組換えマスタード、ナスがあるが承認されていない。

 日本ではこうしたことをしていたら種子の多様性が急速に失われてしまう。コメも300種あったのは風土に適した品種を種子法が守って作ってきたからである。多様性を失うことは生態系を失うことで病気に強い品種を失うことでもある。

 さて、生物多様性条約、遺伝資源条約は144カ国が批准しているがUPOV条約は56カ国しか批准していない。どの国も遺伝資源の条約の方が大切だと思っている。そして、この条約は遺伝資源を守って来た主役は農民であると明記してある条約である。そして、種子では農民の参加する権利を政府が保証しなければならないとなっている。農民の意見を聞かずに種子法を廃止したことは国際条約違反なのである。

 また、来年から国際家族農業の10年が始まる。力強い企業的農業みたいなことを言っている政府は日本ぐらいしかない。だから、国連総会でも決まったのは家族農業だったのである。そして、小農及び農村で働く人々の権利宣言が採択されようとしている。この中で種子も重要なものになって来ている。これを日本政府は妨害しようとしている。

 確かに種子企業はヨーロッパが強く、大手3社はヨーロッパである。けれども、EUでも有機農家の種子売買を承認できるような決定をしようとしている。日本はまったくこうした動きに無頓着である。日本がカバーしているのは種苗法だけである。農家の種子を守らなければいけない。

フェミニズムなくしてアグロエコロジーはありえない

 インドではNavdanyaが124ものコミュニティ・シード・バンクを設立し、インドの22州でコメだけで4000品種も集めている。ただ種子法を復活させよと言ってもダメである。各都道府県も種子を守るという宣言をしていく。すでに3県が条例を作っているが、こうした条例を作ることが大切である。最後に今日の集会のタイトルでもあるのだが、女性の権利が種子とは密接に重なっている。女性たちはもともと力を持っていた。近代農業が女性の役割を周辺化、排除しタネと命を商品化したのである。アグロエコロジーはフェミニズムなしにはありえない。Sem feminisumo nao ha Agroecologiaである。

会場との意見交換

 札幌から来た安川誠二です。日本農業新聞の記者をしております。北海道も条例化を検討している。コメ麦大豆である。そして、道の農政部が考えているのは小豆である。ただし、農政部のスタッフも少なくマンパワーが少ない。新しいルールは作ると言っているが、条例を作るとまでは言っていない。公的種子事業をきちんとしてもらいたいと思っている。東京からの皆さんの声もプレッシャーになるかと思います。

内田聖子 みつひかりは最初は成果があるが環境に負荷があるのではないか。5年、10年たつとどうなってしまうのか。

斎藤敏之 3年ぐらいで収量があがらなくなる。また、倒伏を防ぐために茎がしっかりしているためコンバインの歯がダメになる。印鑰さんが話したようにそれが思ったよりは広がらない理由だ。

内田聖子 そうした現場の情報は本当に役に立つ。

韓国との交流でUPOV条約のすさまじさを知った

20180623saitoS.JPG斎藤敏之氏 私は船橋の野菜農家である。韓国の女性農民会との交流がきっかけで種子法に関心を抱くようになった。韓国では以前には数多くの種子屋があったが、それがあっという間に外資系に吸収された。10社になってしまった。そこで、外資系から在来種子を守らなければならないと言う意識が高まった。

 自分でも、種子法が廃止されるまではどれほどすごいことをしていたのかを意識していなかった。あるべきものだと普通に思っていた。

 さて、4年ほど前に生物多様性条約の関係で外国に出かけた時に「日本は守られているので大丈夫です」と言った記憶がある。ただ「おかしいな」と思ったのは、千葉県には「オオマサリ」という大粒の落花生があるのだが、この種子を買った時に、「自分で作る分には良いが、それを有償で人にわけてはいけません」と言う誓約書を書かされたことだ。

 さて、印鑰さんから種苗法の説明があり、韓国に出かけた時に初めてUPOVという国際条約があることを知った。そして、大変なことであることがわかった。ビア・カンペシーナとはずっと付きあって来たのだが、インドネシアの人とも話をしたのだが、ずっと調べて行くとUPOVを巡って大変なせめぎ合いをしていることが見えて来た。

本来、あるべきもともとの権利が企業から与えられる権利になっている

 私が、一番、驚いたのはカナダで有機農業をやっている農家が隣の畑でモンサントの花粉が飛んで来て「損害賠償を払え」と言われ、カナダの最高裁で争って、モンサントが勝ち農民が負けたことだ。信じられないが汚染された方が被害者なのにそれが負ける法体系になっている。

 UPOV第15条では、農民が作ってもいいものがあることとされているが、いま議論になっているのは、本来、自由にやっていいはずのこと、本来の権利としてあるべきはずのものが、条約に書き込まれている権利となり、企業から与えられた農民の特権となっていることだ。こういう構造であると、企業側は特権を止めさせたければ、いつでも止められると。そして、種子法を廃止するために種苗法で管理していくと。そして、日本農業新聞には農民の特権をなくすと書かれていた。要するに、企業側からすれば、種子法は邪魔で仕方がない法律であった。

自民党が反論できない苦しさ

 さて、国会で話を聞いていたのだが、最後に自民党の議員がこう言った。野党の人とも一致することがある。実は自民党はそこまで押し戻したのだと。農薬取締法がそうだと。だが、種子法はそれとは関係ない。そして、委員会が終わったらどうするのかというと何もしないと。なぜならば、自民党は地元に帰ったら「なんで反対しなかったのだ」と言われて何の反論もできないからだ。そういう状況になっている。地域で運動を進めていけば広がっていく。農村でも今は誰も心配していないが種子を買うごとに誓約書が書けるかと。種子を取るということは農民にとって大変なことである。そして、韓国がすごいなと思ったのは、それを生協がやっていることだ。

質疑応答

自家採種のために在来種保護法を制定せよ

印鑰智哉氏 育成者権は一部の種子だけである。ジーン・バンクはその国の主権が及ぶことで生物多様性条約でも認められているため、たとえアールセップがあっても否定はされない。家庭菜園でも否定はされない。

 ただ、これから企業から買わなければいけないことが進んだときに産地銘柄でそれを売ってくれることがあるのかということだ。そこで、私が提案したいと思っているのは、在来種保護の仕組みである。日本の遺伝資源条約を元にすれば作る根拠がある。在来種保護法を作れば拮抗できる。売ることができる。

インドは法の外部に出ることで抵抗している

内田聖子氏 条約は国内法よりも上位なので、それはUPOVで禁じられているのではないか。インドでは法律の罠に陥らないように法律内で認めてもらうのか、法律外にいくのかというラディカルな問いかけがあった。そして、法の中に回収されていかないように抵抗している。そこで分断が起こっている。要するに、入らない立ち位置をしている。インドはそういう主張をして来ている。例えば、インドが守っているのは医薬品の特許である。ガンジーの頃からジェネリックを開発して来ている。自国で安い医薬品を作るのが主権である。TPPで企業が特許権を得ようとしているのに抵抗しグローバルの流れでなんとか食い止めている数少ない国がインドなのである。

 ただし、日本ではそういう法の外の領域がなくなりつつある。そして、貿易協定が被せられようとしている。昨年7月にインドに行った時に日本政府の知的財産が有害そのものであろうと。そこに、日本とインドとの間で共同できることがあろうと。そうしたきっかけができればと思っている。

種子法廃止は日本企業のグローバル戦略に忖度した政府の公共政策自壊政策

会場O氏 この集会のちょうど前に明治大学においてシンポがあり、京都大学の久野先生が言われていたのは、直接的に種子法廃止では被害がなく、利害関係よりも純粋にイデオロギー的に廃止したにすぎないと。そして、あまり多国籍企業が介在する余地はないと楽観的に言われていた。つまり、TPPのための露払い的にしたのだと。けれども、皆さんは厳しいところで体験して来ているので、これについて伺えればと思う。

印鑰智哉氏 種子法を廃止しようという動きは2016年に出されたが、2007年の種苗法を改定したあたりから邪魔だという人たちがかなりいた。そう考える人たちとは、多国籍企業のモンサントとか住友や三井といった多国籍企業である。いま日本市場は小さくなっている。そして、日本市場だけではしぼんでいくのが避けられないため、住友化学が打ち出しているのは海外に行くことだ。例えば、米国では除草剤耐性雑草がはびこり、グリホサートが効かなくなってきているため、モンサントはラウンドアップの代替えとして、2-4-Dを混ぜたり、ジカンバを使っている。その彼らが頼みとしているのが光合成を狂わせる住友化学の技術である。こうしてモンサントと住友化学は組むことにしている。

 こうした大きな構図の中では種子法はメインの標的ではない。潰したいものの一つにすぎない。ただし、その意味でこちらからストレートに無くしてくれとは言えない。僕はこれは政府の側からの民間企業後押し策だと思っている。つまり、公共政策を壊してしまっていると。農業競争力強化支援法は多くの面のひとつでしかない。実際、日本モンサントのコメは売れていない。モンサントから圧力をかけたとは思えない。そういう関係にある。要するに、公共資源を守るという中で、種子法を守ることをやっていかなければならない。

農業は経産省の知的所有財産戦略のパーツにされた

斎藤敏之氏 印鑰智哉氏も言われたが昨年11月の事務次官通達では「提供しなさい」と書いている。ということは、日本の素晴らしい種子の遺伝子が欲しいことは間違いない。ゲノム編集も含めて育種技術はすごいものになってきている。彼らにとっては喉から手が出るほど欲しいものなのだろうと思う。

内田聖子氏 印鑰智哉氏が言うように種子法だけで見てみるとそうなのだが、実は私は知的財産を専門としてきた。そして、アニメ映画や知的財産が活発になっている。種苗法の改定される中で実は2002年に日本では内閣の下で「知的財産戦略会議」が作られた。これが規制改革会議の前身の前身である。そして、2003年に知的財産基本法ができている。これから知財強化して行くと。このあたりからが新自由主義と言ってもいい。多国籍企業と貿易交渉で毎年レポートを出しているのだが、2017年のリポートでは、競争力強化法で、様々な知的財産が生み出されることから「農業」は、知識産業、情報産業として位置付けられる。つまり、知的財産権になったのである。

オープンソースが伸びるのに誤った戦略

印鑰智哉氏 これからは権利を売る側になると。夏に経産省がまとめようとしているのだが、これから南の国に知的財産を売っていくと。けれども、この戦略が間違っていることは、どんどん落ち込んでいるマイクロソフトが証である。そして、発展しているものはオープンソースである。そして、ヨーロッパで一番伸びているのは有機農業である。このような戦略を取ればさらに落ちると思う。バカなことだなと思っている。

会場W氏 根本的に生物に特許を与えると言うのは間違いだと思うのだが、生物への特許をダメだという動きは世界的にあるであろうか。

内田聖子氏 サリニーさんも言っているが知的財産に対する抵抗は各地にある。貿易交渉しか私は知らないが、現状では知的財産権を推進する側の力があまりにも強い。私たちも知的財産の恩恵を受けて買い物をしている面もある。だから、全ての知財を否定すべきではないと思っている。しかし。。。。

印鑰智哉氏 ノーパテンツ・オン・ライフ。生物への特許を認めない。生命で特許を認めるのはおかしい。オープンソースの種子であるべきである。世界で一番動いているのはアンドロイドである。スマホのプログラマーは独占してはいけない。その方がよほど進歩していく。だから、在来種を守る制度を。それは条例でもいいと僕は思っている。

20180625.jpg斎藤敏之氏 日本でも昭和40年代までは至るところで農民たちは種苗交換会をやっていた。で自分のところにあるものがどうなのかというと、今はそれが農機具の展示会になっている。もう一つ小さな動きだが登録品種ではないもの。交換会としてやっているところが出てきている。最近、秩父に「借金いらず」と言う大豆があることがわかって蒔いている。法律の網にかからないものを作っていきたい。

グループディスカッション~各グループの感想

第1グループ 今後どう言うアクションをしていくか。日本人はもともと知財戦略とかが得意ではないのに、真似をして今さらやってもダメなのではないか。自然と調和したアグロエコロジーであろうと。日本の強いものを求められているのではないか。

 また、自治体を動かしたりするのは日本人は苦手である。どうすれば自然に動かせていけるのか。今日のような集会があっても解散した後で力を合わせるのが難しいのであれば、どのように動いたらいいのか。そこに興味がある。

第2グループ このグループは名古屋、群馬、鹿児島から来た人たち。種子が知的財産であること、そして、日本が決めたことが世界に影響することがわかってよかった。多国籍企業に知的財産を渡したところでメリットがあるのか。グローバリゼーションとして種子をいじることで植民化が起きるのではないか。ゲリラ的に種子を交換すればいいのではないか。恵泉女学院では有機農法をしなければならないという制度がある。地元の生協に対してきちんと食べられるものを提供するように求めていく。

第3グループ システムそのものが作られてしまっている。非常事態に陥った時に食料自給率がどうなるのか。餌そのものに穀物が大量に使われているので米に集中すれば非常時には大丈夫だろう。今ならばなんとかなる。だから今が大事である。年賀状とかで危機的状況を知らせたい。DVDを送ったりしたい。返信用を添えて署名をしよう。うどん粉から自分で食べるものを作ると言う意見もでた。

 また、今の日本政府は多国籍企業の手先で信じられない。信頼できる組織を、インドのような種子のバンクを作りたいと思った。在来種の保護法も効率よく有志の力で作りたい。

第4グループ このグループでは感想を出す前に問題が提起された。地方自治体の条例は三つしかできていない。兵庫と新潟は知事から部局にやれと。埼玉は自民党の政調会長が山田元大臣の講演を聞いた選挙区の人の声を要望と勘違いして動いたらしい。政治的な力関係だけでは素直には動かないし、単純には行かないが、政治をどのように動かして行くべきかという議論となった。岡崎さんがこのようなWSは珍しいと言われたが、行政でまちづくり懇談会はこんな感じになる。

 個人的な感想だが国際会議にいって先進国である日本でなぜ食料主権が問題になるのかという論理を突破するのが大変であった。種子の問題を通して重要な問題になるなと思った。

第5グループ 種子の問題は初めて知った。TPP反対と言っても興味がわかないが種子に関わるのは若い人がいるのでいいと思った。そこを突破口に新自由主義に反対できればいい。中学1年生の息子が農業をやりたいといっている。それもあって来た。息子はインドに行くしかないと思った。

編集後記

 シンクロニシティというのはあるのかもしれない。反GMOで英文ネットを検索するとまずヒットするのが韓国やロシアである。ということでこのブログでは韓国の在来種の取り組みを紹介してきた。そして、梨花女子大学でアグロエコロジーを研究する若手研究者の「女性の経済、種子の経済」というキーワードをゲットすることができた。そこで、種子保全を考えるうえでは女性もキーワードになるのではないかと感じてはいたのだが、この会場で、まさに韓国の女性農民協会と交流している斎藤敏之氏や印鑰智哉氏の「Sem feminisumo nao ha Agroecologia」というスローガンにぶつかるとは思わなかった。

 あいにく、この意見交換会では深まらなったが、グローバル多国籍企業による種子独占と知的財産化に対抗策としては

 ロシアのような国家と財閥が連携した国家による保護

 韓国のように州政府と農民が連携した自治体レベルでの保護

 韓国やブラジルやインドのように女性を中心とした脱経済化

 という三つの流れになるのではあるまいか。おそらく、一番恐れなければならないのは、百姓たちのレベルでの種子をマネー化したグループ間での対立だ。そして、韓国では神戸女学院大学の内田樹名誉教授が指摘されるように確実に「脱マネー化」が進行している。

 講演後の講演会では斎藤敏之氏は面白い話を紹介してくれた。稲作経営者会議に加盟している大規模稲作組織の幹部も「子どもには後を継がせたくない」と愚痴を言うという。

 「政府に散々持ちあげられて、大規模化のために借金して農機具をそろえ、補助金は減らされるではこうした思いになるのも当然ではないでしょうか。北海道でも100haの稲作経営農家が離農したそうです」

 種子と同じく技の伝承というキーワードで見れば、子どもが後を継ぎたくないという職業は明らかにどこか間違っている。やはり、脱マネーと贈与もどこかキーワードで水面下で流れている。そして、借金を逃れる脱マネーのための百姓たちの戦いということでは、このブログでは「秩父事件」も取り上げてきたのだが、斎藤敏之氏は「秩父在来」のまさに「借金いらず」と言う大豆を見つけたという。あわててゲットしようとネット検索してみると「借金なしダイズ」という商品名でかの野口種苗が扱っていた。残念ながら売り切れだったのだが、まさにすべてがつながってくる。愉快ではないか。

(2018年6月26日投稿)

【画像】
パルクのシンポジウム案内はこのサイトより
シャリニ・ブタニ(Shalini Bhutani)女史の画像はこのサイトより
斉藤敏之氏の画像は山崎農業研究所のこのウェブサイトより
野口種苗の「借金なしダイズ」の画像はこのサイトより


posted by José Mujica at 06:00| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする