2018年11月27日

農業者だけの問題ではない、食料主権と遺伝資源いう視座が大切~SBCラジオJポイント

はじめに

 日本の多様なタネを守ってきた「種子法」が2018年4月に廃止され、日本農業は大きな転換点にさしかかっている。SBCラジオ(信越放送)の「Jスポット」というコーナーは「種子法廃止」の問題を連続してとりあげてきた。4月30日の第1弾では山田正彦元農業大臣が登場し、6月4日の第2弾では「日本のタネを守る会」の事務局アドバイザー、印鑰智哉氏が出演した。7月9日の第3弾では、種苗法の改正問題で再び印鑰氏が登場した。

 さらに、8月からは、第4弾、第5弾、第6弾ということで、在来種保全や小森ナスが放送された。10月29日の第7弾では、長野県の山本農政部長が登場し、長野県の動きが紹介された。さらに、11月21日の第8弾では、条例制定に向けた農業関係者の受け止めということで、JA長野中央会の春日十三男専務理事が登場した。そして、11月27日の第9弾では、NAGANO農と食の会の渡邊啓道共同代表が出演した。8時15~30分まで15分ほどだが、コンパクトになぜ在来種の保全が大切なのかがまとめられている。ということで、この放送の一部をテープ起こししたものを紹介しておこう(1)

長野県は来年6月議会での独自の条例制定を目指している

Masaaki-kubo.jpg
久保正彰 今朝もスタジオには、生田明子アナウンサーです。おはようございます。

生田明子 おはようございます。

久保正彰 先週も長野県で独自の条例を作ろうということで、JAの方のお話を聞きましたね。今朝はどういう観点からですか。

生田明子 今日はこの条例制定にむけた農業関係者の受け止め第二弾ということで、農業と食事ということで「NAGANO・農と食の会」というグループの渡辺啓道(ひろみち)共同代表にお話を聞きてまいりました。「NAGANO・農と食の会」では、月に一度の定例会という名の農業と食事にまつわる勉強会を6年前から70回以上にわたって行ってきました。

 「農と食の会」ですので、農家の方はもちろんいらっしゃるのですけれども、販売店の方、そして、消費者の立場でもある主婦の方、料理人の方、さらには、長野県議会議員、長野市議会議員、大学教授、産婦人科医と非常に多岐にわたるんですね。そんな皆さんが、今回長野県農作物種子条例の制定にむけまして、私の案=条例私案を作成しました。どんなものなのか、その一部をまずはお聞きください。 

市民の目線で食料主権をうたった条例私案を作ってみた

Watanabe.jpg渡辺啓道 私たちの「NAGANO・農と食の会」の方で「長野県種子多様性基本条例」という私案を作成させていただきました。

 全部で13条の条例内容なんですが、ポイントとしてはですね、まず食料主権をうたっているということですね。

 この食料主権というのはいろいろな意味があるんですけど、ヨーロッパでは、カロリーベースで、穀物の自給率国内の自給率が100%を越えている国はたくさんありますよね。そういう意味で国家の食糧を保存するためには、食料安全保障という考え方が一つあるということ。

 あともう一つの考え方として、消費者が自分の食べるものを選ぶ権利、それも主権の一つだと思うんですね。例えば、遺伝子組み換え食品を消費者として選択したくない、食べたくないと。それをきちんと選ぶ権利があるということですね。そういった意味では、表示についてもしっかりしなければいけないとそういった考え方になってくると思います。

 11月26日の月曜日の午後から、県の農政部の方と私たち長野農と食の会のメンバーが懇談の会の場を設けさせて頂くことになっていて、私達の条例私案に対する考え方を県の方にご説明できれば非常に嬉しいなと思っております。

遺伝子組み換えは農産物はいまは日本では作られていないとはいえタネが汚染されれば

久保正彰 ほう。ちょうど、今日の午後ということなんですね。それから、話に出てきました遺伝子組み換え食品ですけれども、先週もお伝えした中では、現在日本では遺伝子組み換えの商業生産は、認められていませんですよね。

Akiko-Ikuta.jpg 生田明子 はい、そうなんです。長野農と食の会には主婦・お母さんたちも多く参加しているんですが「やはり自分の家族や子どもたちには、遺伝子組み換えの食物は、体にどんな影響があるかわからないので、食べさせたくないという思いが強いとおっしゃっていました。

 さて、農作物は、種からできるわけですが、現在は日本で販売されている野菜の種の9割が外国産になっている現状を、これまでもお伝えしてきました。渡邊さんは、今後しっかり在来種を守るために、こんな問題提起もされています。

Watanabe01.jpg渡辺啓道 種がどんどん海外から国内に流入してきて、これが、もしですね、例えば、遺伝子組み換えの種であったとしたらですね、種というのは花粉をもとに作られるわけですから、遺伝子組み換えされた種の花粉が飛散するということにつながってくるんですよね。そうなりますと、地元の在来品種ですとか、お米ですとか、麦とかそういった種自体が、遺伝子組み換えの花粉によって汚染されてしまうという、そういうことが予想されてしまうんですよ。昔メキシコというのは、自家採取されていたとうもろこしがもう何百種類とあったんですが、とうもろこしの花粉は非常に距離が遠く飛ぶんですよ。だから、アメリカの遺伝子組み換えのとうもろこしの花粉がメキシコの在来種を汚染して、今はね、在来品種のとうもろこしは希少価値をもっているんだよね。それぐらい花粉の飛散は大規模に起こってしまう現象なので、これは非常に気を付けなければいけない問題だと思います。

海外では遺伝子組み換え汚染が起きている問題を知っておく必要がある

久保正彰 ほう、実際に海外ではこれは現在進行形の問題なんですね。

生田明子 そうなんです。遺伝子組み換え食品については、今回の条例の中でその内容が入るかどうかは、まだわかりません。けれど、私たちが問題として知っておくことは、とても大切なことではないでしょうか。

 その他にも、種苗法で原則禁止になろうとしている「農家が自分の畑で種をとること」=自家採種についても農家の権利として明記しています。

種子法廃止の問題は医療や健康、遺伝資源も関係し、農家だけの問題ではない

生田明子 渡辺さんをはじめとする、長野農と食の会のみなさんは、大切にしている思いがあります。

Watanabe02.jpg渡辺啓道 この条例については、単に種子法廃止を受けて農業者対象の種の問題ではないということが一番大事だと思うのですよね。当然消費者の問題でもあるし、医療の問題でもあると思うので、全国民、全市民の問題だと思っています。

 今、種子法を廃止のことでどんなことが起きるかというと、一部の大企業、多国籍企業によって種というものが独占されるしまうという現実がこれから起きてくると思うんですね。私たちがどういうものを食べたいのかということまで制限を受けてしまう可能性が出てきてしまったわけですね。

 お米ですとか大豆ですとか、野菜にも在来品種がいろいろとありますけれどもそういう種の多様性を日本人が守っていくということが、みんなの健康にもつながっていくということですし、今まで農家が何千年とね、伝えてきた種、そういう遺伝資源というものは、みんなのものだ。種の資源は重要なものですから種というものをみんなで守っていくということが大事だと思います。

久保正彰 なるほど遺伝資源という言葉も出てきましたねぇ。

生田明子 はい、そうなんです。今日、登場してくださった「NAGANO・農と食の会」主催のイベントは、来月12月2日(日)。長野市にあります松代ロイヤルホテルで 午後1時から「ママこれ食べて大丈夫?パート2」と題して開かれます。

久保正彰 こんどの日曜日ですね。

生田明子 はい。そして、翌週8日(土)には、長野農と食の会の東信支部主催で「種は誰のものか」と題しましてて、佐久平交流センターで、午後1時から行われます。イベントについて、詳しくは、番組のHPに掲載しておりますので是非ご覧下さい。

久保正彰 学びの場はいろいろ用意されているということですね。


県内各地で行われる種子条例を巡る勉強会
☆12月1日(土)
種と食と農のお話(午後1時〜4時)」
 主催:安曇野種バンク
 講師 印鑰智哉氏
 場所:やすらぎの郷(池田町)  
 問い合わせ先:シャンティクティ 臼井健二氏 電話 0261-62-0638

☆12月2日(日) 
種と食と農のお話(午前10時〜)」
 主催:筑北村社会福祉協議会
 講師 印鑰智哉氏
 場所:筑北村役場  
 問い合わせ先:町田氏 電話 090-6478-5692

☆12月2日(日)
ママこれ食べて大丈夫?パート2」(午後1時〜5時)
 主催:長野農と食の会
 シンポジウム:渡辺啓道氏他、堤未果氏の特別メッセージあり
 場所:松代ロイヤルホテル(長野駅から無料送迎バスあり)
 問い合わせ先:NAGANO農と食の会事務局 カネマツ倶楽部 電話 026-278-1501

☆12月8日(土)   
種は誰のものか」(午後1時〜4時)
 主催・長野農と食の会の東信支部
 講師 岡本よりたか氏
 場所:佐久平交流センター(佐久市)
 問い合わせ先:酒出 電話 090-6523-1456

☆12月9日(日)  
食の安全とタネのはなし2」(午後1時30分~3時30分)
 主催:子どもの食・農を守る会伊那谷 講師 吉田太郎氏
 場所: JA上伊那アイパル(駒ヶ根市)
 問い合わせ先:関島百合 電話 090‐2679‐3459
(2018年11月27日投稿)
【画像】
久保正彰アナウンサーの画像はこのサイトより
生田明子アナウンサーの画像はこのサイトより
渡辺啓道共同代表の画像はこのサイト及びこのサイトより
【引用文献等】
(1) 2018年11月26日、 モーニングワイド ラジオJ


posted by José Mujica at 00:16| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする