2018年12月18日

日本のタネを守る会、種まきカフェ〜子どもたちの食の未来のために食農教育を

子どもたちの食の未来のために食農教育を

 昨年3月に種子法の廃止が決まり、7月に「日本のたねを守る会」が発足した。それ以来、ずっと署名を集めていた。11月で17万筆集まった。

 この「種まきカフェ」を含めて活動をしてきて、感じていることは、日本の食が守られているのか。食の未来がどうなるのか。知る機会、知ってもらう機会が大切だということだ。どのような活動をしていけば私たちが助かるのか。多くの人にとって大変なことが起きるからだ。子どもたちの食が守られるかどうかを知ってもらう努力をすることの大切さをつくづく感じている。

 さて、今日は種子法をめぐる問題点について議論をする。どうなるのかについては、山田先生を含めて色々な人からお話をいただけるであろう。どのように子どもたちに伝えていくのか。「食育」だけではなく「食農教育」も必要であろう。私は自分の仕事としては学校給食を豊かなものにしていきたい。地産地消、フードマイレージ。そして、もちろん、美味しい食のために味覚教育をしていく。それが使命ではないかと思っている。

JA水戸は茨城の中でも大きな生産農協

 JA水戸は域内に34万人が居住し、組合員が2万4000人。正と准が半々である。茨城県は第1位になっている品目が13もある。農業生産が盛んで、日本では北海道に継ぐ生産県である。そして、JA水戸は野菜、果物等、70億円を販売している。柔甘(やわらか)ねぎ、メロン、ブランド米がある。中でも、柔甘ねぎは、GIの登録をもらっている。茨城県には登録されたものが3つある。「江戸崎かぼちゃ・飯沼栗・水戸の柔甘ねぎ」である。うち、二つ、「栗」と「ねぎ」がうちの管内にある。

 また、グルテンフリーのモノ等で6次産業化をしている。ワイナリーもあり、ワイン用のブドウも生産している。

種子法が廃止されタネの値段があがる

 2018120805S.jpgさて、今日の本題だが、種子法が廃止されて何が心配なのだろうか。まず、うちは、タネの生産をしているJAでもある。茨城県では20あるJAのうち、6つのJAがそれをしている。コメ、麦、大豆は、原原種を試験場で生産し、それを第三セクターの農林振興公社が預かる。まず、圃場の検査があり、OKがでれば、タネが預けられる。少しでも周囲よりも大きいもの等を除去していくなど選抜淘汰をしていく。こうしてできるのが公共のタネである。それをコシヒカリであれば500円と廉価で提供できてきた。コメは10aあたり約4kgの種子を使うため、(いまは技術が進んで3kgでもできるのだが)約2,000円程度が必要である。これに対して、民間の大手の商社が販売しているものだと、おおむね5〜10倍の価格差がある。さらに、キロ4,000円を超えるF1の種子は毎年買わないと作れない。

種子会社に農薬肥料をセットで買わされ特許料も請求される

2018120816S.JPG また、5〜10倍でも使いたいといっても、そのメーカと契約を結ぶことになる。そのときにセットでついてくるのが肥料と農薬である。「つくばSD」であれば住友化学の肥料農薬を使わなければならないし、「みつひかり」であれば三井物産の肥料農薬を使わなければいけない。つまり、囲い込みがある。

 さらに、肥料農薬だけでなく、特許料として訴えられる可能性もでてきている。モンサント、デュポン、シンジェンタ等によるタネの寡占化が進んでいる。

種子生産農家が高齢化している

 さらに問題なのは、生産農家が高齢化していることだ。種子生産農家はある種の使命感をもってやってきた。自負心に支えられてがんばってきた。例えば、鳥が糞をすれば違うコメが育ってしまう。それを避けるようにずっと見守ってきた。けれども、その想いが種子法廃止によって仕事が廃業されたらどうなるか。次の人は、なかなか息子でも技術が継承できていない。篤農家の技術は継承しづらいのである。

遺伝子組み換えとゲノム編集

 さてに、遺伝子組み換え、ゲノム編集についても耳にされるようになってきた。茨城県には外資系の実験農場もある。そして、許可されているのが一番多いのが日本である。また、現実に流通している食品であっても、食を考える団体が検査をすると出てくる。つまり、実際にGMOは入ってきている。

 その理由は「原材料」であれば「食品」にはならずOKとなるからである。それを加工して出荷すれば大丈夫である。「原産地表示」も一番変化させたところが生産場所になるため、たとえ、本当の原料が中国産であっても国内になってしまう。

 一昨日と昨日は横浜にある保存倉庫にいってきた。写真を一般に公開しないことを条件に見せてもらったのが、5年ものの大根、キュウリ、ナスがあった。なぜこれだけおいてあっても痛まないのか、腐らないのかがショックだった。つまり、早いものは数カ月で出荷されていくが長いモノは5年もあると。そして、ピーナッツ、三菜、ぜんまい、わらび。みな、産地が横浜に採りにきているという。現場では「これから皆さん、中華街でお食事ですか。選んで食べてくださいね」と言われた。

 つらつら考えるに、日本で輸入されていない原材料は何があるのかと思ってしまった。

グリホサートの規制緩和

 また、除草剤の成分。グリホサートもTPP11と2月に発効されるEPA。そして、TAG、これは、トランプ、安倍の誤摩化し条約というそうなのだが、ここで、グリホサートがヒマワリでは400倍、蕎麦では150倍、テンサイでは75倍、小麦では6倍、トウモロコシでは5倍、綿実では4倍に基準が緩和された。グリホサートは腸内フローラを痛める。そして、米国では癌になったとして320億円の裁判沙汰にもなっている。

 では、なんのために規制緩和をしているのか。昨日も話題になったのがポストハーベストである。これも多量に原材料に入っている。蒸散抑制剤、ワックス、防カビ剤。だから、長期間腐らないで持つのである。このポストハーベストは収穫後に農薬をまくものである。だが、いまは、それだけではない。プレハーベストもある。それは、収穫前に散布するものである。小麦、ナタネ、そして、トウモロコシも一部使っている。すると本体が枯れて乾燥する。そして、コンバインに負荷がかからない。乾燥機にかける電気、エネルギー時間も少なくてすむ。

 大豆は実際に栽培している途中で撒かれるから、多少は少なくなっていくのだろうが、プレハーベストは収穫直前にかけるため大いに心配である。農協でもラウンドアップを売っているのだが使用量が違うであろうと。

国民の食料主権が大切

 2017年9月24日に実施されたスイスの国民投票では憲法に食料安全保障を盛り込むことが79%の圧倒的賛成で可決された。明記された項目には、農業生産の基盤を守る必要性や食料生産はその地域の条件にあわせた手法で行い資源も有効活用するがある。

 韓国でも5000万人のうち1141万人の署名。農の公益性を入れ込む動きがある。

 ゲノム編集のなかではゲノム合成もある。削除するのではなく、何もないところから合成する。藻を使ってバニラと同じ匂いと味がする。パームオイルが合成でできている。これは、突然変異につながるのではないか。国内では農研機構が花粉症を防ぐコメを開発している。

 日本は遺伝子組換え作物の輸入大国である。トウモロコシ1120、大豆253、ナタネ227万t。綿、テンサイ、ジャガイモ等。合計推定1880万tが輸入されている。そして、毛髪も輸入している。アミノ酸をとって醤油を造っている。

タネを巡る権利の保護と利益の配分は人類共通の課題

2018120817S.jpg 人類のいのちの源である種は人類共通の遺産である。

 そこで、食育+農業=食農教育をしていく。

 食育をさらにパワーアップして、食を支える根本である農業に関する知識・体験を含んだ食農教育をやっている。水戸市の地産地消率は私が組合長になったときには32%であったが、市長に話をして、食味系80点以上のコメを食べてもらう等して、現在55.9%までアップした。市長も予算をつけてくれている。最初はなんとか50%を願っていたが、それを超えた。大洗は80%。城里町も20%が倍でとなり、なおかつ、学校給食も無料である。

2018120808S.jpg そして、栄養のために教諭を教育することも必要である。教師にブランドの野菜、果物を食べてもらう。そして、管内各地で農業体験を実施している。先生も一緒に学習をしていかなければならない。私の娘も中学校の教諭8年だが、夏休みに必須科目で野菜づくりをやった。友達が萎れた野菜に霧吹きをしてドライヤーをかけた。それが先生をやっているのがもっと心配である(笑)。また、ニンジンを抜いて、また戻す。これに違和感を感じない。先生は土で手がきたなくなったので良く手を洗ってくださいねと。食育の大切さを感じるところである。

ヨーロッパは転換しつつある

 先日、スペインとイギリスにいってきた。EU(スペイン)には日本のGAPに代わりBPA(Las Buenas Prácticas Agrícolas)があるのだが、国土保全のために不耕起栽培、直播が義務づけられている。スイスも値段が高いのをわかっていて買う。子どもたちのためにそういう動きが起きてこないと駄目である。

「日本だけ食料の主権がないのではないか」と横浜でも説明をされた。どうしても、種子法廃止では種子法が中心になるが、カロリーだけではそれは餌になってしまう。餌にしない。人間の食べ物にしなければならない。

質疑応答

 目に見えないところで塩蔵されているが、コメ油は大丈夫である。後はオリーブオイルがまだいいかなと。健康にいいお歳暮の油はプレハーベストが始まっている。

 また、ヨーロッパのバルセロナであれだけ進んでいるのに驚いた。3年で有機農業の生産面積が倍になっている。シリアル、大麦、小麦は不耕起で枯れ葉剤は使わない。また、家畜を飼育している。堆肥にして収穫後に撒いている。そこで、香ばしい匂いが町中にする。それを皆が認めている。そして、BPAをやったのは生協ルートで販売してく。それは、中小規模の個人の農家。とはいえ、400haだが。そして、大規模農家はいままでどおりある。播種はドリルシーダーで行う。また、大きい農家はコンバインを使っている。

 家畜がいることで輪作になっている。原則肥料はいらない。EUのものは厳しい基準である。そして、日本には日本の基準にあわせたものが輸出されていく。

山田正彦元農相 オーストラリアも成長ホルモンを使わない牛肉はEUに出す。日本には使ったものを出している。

八木岡組合長 つまり、大規模経営が生産したものが日本に来るということだ。バルセロナでは添加物を入れていない。近いので流通できる。レストランは誰さんと顔が見える契約をしている。一番遠い人で40キロ。近いのは20キロ圏。そういう人が多い。

山田正彦元農相 先日、イタリアにいったがそれに似ている。30〜50人で生産者とわけあっている。

八木岡組合長 生産者が一人で何品目も生産して確実に確保するのが大変なので、グループを作り、互いに穫れすぎたり気候変動で不足したりするときに30人ぐらいでわけあっている。その中に県の普及員が関わっている。営農指導員がサポートしている。BPAはアグロエコロジーでSDGsの中に入っている。

 なお、全農がロンドンに駐在においているが、農産物を商社としてワンクッションをおいて販売しているが、日本のものが本当にない。また、水が凄い勢いで売られている。ペットボトルが600円であるするものまであった。

 女性ホルモンが入っている牛乳で2歳の子どものおっぱいが大きくなってしまっている例などもあった。

編集後記

2018120803S.jpg 八木岡努組合長とお会いしたのは、ちょうど1年前の12月16日に日本のタネを守る会の主催で開催されたタネカフェ「山田正彦元農相の講演会「種子法廃止とこれからの日本の農業について」を聞いたときだった。本当に1年という歳月が去るのは早い。とはいえ、時代は確実に動いている。八木岡組合長の話で驚かされたのは、欧州の転換ぶりだ。こうした動きを知れば、まさにアグロエコロジ―、在来種子の保存こそが人類が生延びるための本流であって、改めて「日本のタネを守る会の運動」が間違っていないことを感じさせてくれる。と同時に、悲しくもある。世界の人々が健全な食を求めれば求めるほど、日本はまさに欧州人が口にできないようなカスを食べさせられていることになるからだ。これを無知と言わずしてなんという。

 「あえて言おう。カスであると」

 ギレン総裁の名フレーズをスローガンにカスのボイコット運動こそを展開しなければならない。真っ赤にそまったケヤキをみながら、タネ、食べ物、食農が連動しているのを感じた1日であった。八木岡組合長のようなまともなJAがこの国のあり方を変えてくれることを本当に望んだりした。
(2018年12月8日)


posted by José Mujica at 06:00| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする