2019年01月19日

第2回OBUSE農と食の未来会議

問題提起:世界のあり方が変わっているのにいまの日本はどうなのか
吉田百介氏

2019011602S.jpg 規模拡大して儲けるのが強い農業である。そこで輸出して儲けようと。人手が足りないことは自動運転のトラクター。機械化と外国人労働者で対応する。そして、世界が禁止するグリフォサートを大幅に規制緩和した。遺伝子組み換えも消費者が選べないようにした。種子法を廃止したことで消費者は選べなくなる。世界一ビジネスをしたい国にしたい。

 さらに、種子も国が面倒を見ない。規制緩和して民間が参入しやすくしようと。種子法だけでなく漁業、林業、水道のあり方も変えようとしている。

 このビジネスチャンスで儲かるのはタネを持っている人である。さらに、世界的に見るとタネだけでは儲けが少ないので、農薬とセットにする。一番売れているのが遺伝子組み換え種子である。こうしたメーカーは「規模を大きくすればもっと儲かる」と呼びかけている。しかし、規模を拡大すれば機械メーカーが儲かる。健康被害が出れば薬を扱う医薬品メーカーが儲かる。要するに、公共の種子、税金で守って来たタネを手放すことでさらにお金を使うと。その余計に私たちが使うことになる分が政府が言うビジネスチャンス。ただでさえお金を使わなければならない。しかし、会社が最優先するのは株式への配当。儲けが出なければ撤退していく。日本政府は遺伝子組み換えのバイテク栽培立国を目指しており、ゲノム編集もフリーで広めようとしている。国産が安全だという神話があったけれども、それも今は崩れているし海外にいっても売れなくなっていく。

 では、なぜそうなっているのか。食品安全に対する考え方がヨーロッパとは真逆だからである。ヨーロッパでは3世代先まで考えて安全が認可されなければ使えない。日本は書類審査だけでオーケとなっている。物事の考え方が違う。世界でも最も規制が緩い。そこで、引き取り手がないものがどんどん入って来ている。今のライフスタイルを続けていると大変だということで世界はどんどん変わって来ている。暮らし方もそうだが、自分で意識して選ばなければならない。ということで、世界に対して、小布施町も何か変化を起こしたい。

食の未来絵図
スティーブン・マックグリービー総合地球学研究所准教授

はじめに

2019011601S.jpg こんばんは。今日は京都から夕方5時ぐらいに長野に着いた。文部科学省の研究所で研究をしている。もともとアメリカ出身だが家族が飯綱高原にいるため、仕事生活を京都でして、長野に帰って来て子ども達の顔をみてからここに来た。吉田百介さんのは暗い話である。制度とか、明るい気分になる話をしたい。仕事でも環境問題を研究していても世の中が変わらない。けれども、このように人が集まると力になるのではないか。

 そして、私が今日、話をしたいのは考え方である。世界のシチュエーションを見て海外の事例を見てもらいたい。ポイントは二つある。一つはトランジション、転換である。どうやったら変えられるのか、である。

 まず、自己紹介をさせていただきたい。私はミネソタ出身である。日本にきて15年になる。最初は鬼無里村で英語の先生をしていた。中学と小学校で教えていた。その後、京都大学の農学部で博士号を取得した。私のライフワークはどのようにすれば持続可能な社会ができるか、である。そして、2016から2021年まで「フィースト」という研究プロジェクトが動いている。中国、タイ、ブータンで行っており、日本の京都、能代、亀岡でも動いている。

 さて、最初の問題に戻ると、フードスケープという言葉を使いたい。ランドスケープは景色だが、農業とかフードシステム全体というイメージである。

栄養不足の一方で肥満というアンバランス

 グローバルの視点から見てみると多くの問題がある。例えば、京都の地下鉄に乗ったときに「W杯」の時に見たのだが、「すべてを食べる時が来た」というコマーシャルのポスターがあった。ここに出ている膨大な数字は1年間に世界中の農業生産によって生産されているカロリーである。これを人口で割れば5359kcalとなる。人間が必要とするのは2500kcalとされている。では、この差はどこにいっているのかというと動物の飼料となっている。10億人が栄養不足の一方で20億人が肥満でアンバランスである。

 フードシステムには色々なものがあるが、こういうイメージである。写真をみていただきたい。これは、チェニジアのソイビーン。ミネソタにもこうした景観がある。また、これはスペインのある谷にあるハウス群。ヨーロッパは冬が寒い時にトマトを食べたいためこうして大量に作っている。これはメキシコシティの中央市場。加工もサラダのパックである。加工品ばかりである。消費者も変なものばかりを食べている。そして、イギリスやアメリカはものすごい肥満病である。そして、大量のゴミが出る。

過剰生産と過剰消費~病んだシステムが暮らし方になっている

 要するに生産をしすぎている。そして、消費をしすぎている。そうしなければ経済が回らない。そういう病気のシステムが暮らし方になっている。大豆畑、トウモロコシ畑のために森林を壊してしまう。魚も乱獲しすぎている。また、パッケージがありすぎる。

 ここから温暖化ガスが出てくる。農業は温暖化ガスの4分の1、5分の1に寄与している。そして、日本は輸入をしているためフードマイレージも大きい。フードマイレージのうち一番シェア率が大きいのが家畜の餌である。

 さらに、多様性がなくなって来ている。遺伝子だけでなく、知恵や文化もなくなって来ている。例えば、100年前にはトマトでも400種以上の品種があったがそれがほとんどなくなっている。これは何か病気があったら非常に危ない。

 また、公衆衛生、非伝染性疾患が増えている。中国もBMIが25%以上が25.4%。日本は1962年から2002年で3倍となっていま25%。しかし、アメリカは70%が肥満病である。

 そして、もう一つ問題があるのは、誰がそれをコントロールしているのかである。吉田百介さんが言っていたのだが、タネはものすごく数少ない会社がコントローラーとなっている。

 さて、日本の低い自給率に対して世論調査で不安があるが83%。ないが16%で多くが不安を感じている。そこで、食料自給力になるのだが、農水省のアイデアでは国内生産を考えて、花を止めて農地を使う。コメ、麦、大豆、芋を植えるとどうなるのか。芋がカロリーがあるため。何かあった時にはギリギリ自給できるという。けれども、こうした考え方は、ちょっとおかしい。また、子供たちの貧困問題ももっとニュースに出て欲しいのだが、食べられない人が多い。

農水省が目指すのはビジネス型農業

 さて、農水省がやりたいのが強い農業。オランダを真似した技術メインの農業である。高級的なニッチ商品でアジアの都市に進出していくと。例えば、一個のいちごが1000円でインドのムンバイで売れているので、それをやろうとしている。また、農家がいない農業生産。ドローン、ロボットスーツ、植物工場。無人GPS。これならば高齢者もできると。東北でも植物工場をやろうとしている。けれども、毎日のものがそれで足りるのか。地域社会はどうなるのか。どうしたらいいのか。

市民の力でトランジションが起こせるかどうか

 私の研究プロジェクトは生産・消費、そして、食の管理・統制を変える。理想へ向かう。そこで、トランジションとなる。どういう未来、どういうビジョンにいきたいのか。介入点が大事で、そこで、影響されれば未来が変わる。つまり、転換戦略である。そして、制度全体を変えるためには皆の力がいる。食と農はものすごく社会とつながりがある。考えながら行動すべきである。

バックキャスティングによって理想未来図からいまを考える

 そのための一つの手法は、会社がよくやるのだが、計画を作ってバックキャスティングすることである。ビジョンに行くための計画を立ち上げると壁がある。そこであきらめてしまう。そうではなく、まず、現在を捨てて未来へいくと。すでに実現されている未来に行ってみると。そこから現在に向けてどういう道があれば現在まで行けるかのプロセスを考える。そうすると道が見つけやすい。どういう教育が必要であったか。どういう研究があったらいいのか。それを、少しずつ考えていけばいい。

市民の海外の事例として〜FPCとトランジションタウン

torontos-food-strategy.jpg さて、こうして計画を策定したとしてもそれが実現する力がいる。そこで、重要になってくるのが食の市民ネットワークである。そのための海外の事例としては、まず「フード・ポリシー・カウンシル」がある。京都大学の先生はこれを「未来会議」としている。広義の食料政策である。教育や文化も入ってくるし、都市計画も、公衆衛生・健康、そして、地域づくりもここには入ってくる。環境も考えることができる。食べ物によってすべてをつなげられる。とかく、行政はタコツボ化している。それではいけない。これは2015年時点でロス、デトロイト、トロントと、世界の282の都市で動いている。いまは300を超えているであろう。様々なセクターや機関を繋ぐハブである。

 北アメリカでは貧困、肥満、そして、食へのアクセスができない。食の砂漠化。店が郊外に行ってしまうためコンビニくらいしかない。そのためトロントは1991年に市議会の議決を経てFPCを設立した。フードバンクもNGOがやっていた。コミュニティ・キッチン。これは、ひとつの場所でやっている。

イギリスの「トットネス」から発信されたトランジションタウン

totness.jpg 次がイギリスのトランジションタウン。これはトットネスにある。一番近い都市はブリストル。トットネスは食べ物だけでなく、エネルギーも考えている。田舎で外部資源への依存度が高くガソリンの価格が3倍になったら生活ができなくなるからである。そこで、石油への依存度をなくす自律性を考えた。そのためには自分たちで地域を作らなければならない。少しずつ石油を使わない生活へと転換しなければならない。そこで、色々なグループが集まってビジョンを策定した。そして、計画書を策定してアクションを起こす。このアクションが「地域ブループリント」である。

 とかく田舎は経済が弱くなりまわらなくなってしまう。地域ビジネスが弱くなってしまうケースが多い。そのため、地域のビジネスを応援しようとしている。例えば、計算をしてみたところ、地域経済から外部のチェーン店へとマネーが流出していることがわかった。このマネーの受益者は誰か。外部の人である。そこで、理想的な地域経済はこうなる。互いに熊が背をなぜている絵である。さらにトットネスでは地域通貨にも取り組んでおり、トットネスの市長自らが地域通貨で給料をもらっている。この地域通貨はアイルランドでも次々と増えている。

バックキャスティングで未来を変えよう

Backchasting.jpg
 さて、この二事例から、いま私たちが感じている問題を解決するためには

 ○どういう未来を目指すかを計画する

 ○皆で調べる

 が必要であることがわかる。そこで「トランジションながの」を考えている。例えば、

 ○学校給食と食のリテラシーのカリキュラムづくり

 ○都市内、郊外の農地を地図化

 ○ビジョニングとバックキャスティング

 また、学校給食はテーマとして大切である。長野市は給食センターを作っているのだが、誰もが子どもたちのためには良いものを食べさせたい。これをテーマにやりたいと思っている。地方レベルでビジョンは必要であり、そして、市民の力で社会は変えられる。

質疑応答と意見交換

孤立すると行き詰まる〜仲間とタッグを組んで社会制度の改革を

高野薫氏 吉田百介講師の話では「いまの生活を変えないといけない」とあったが、どうすれば転換できるのだろうか。

マックグリービー准教授 環境問題もそうだが、まず必要なことは問題を勉強して理解することだ。そして、知識を得て行動が変わればよいのだが、なかなか大変である。

 そこで、一つのキーワードが誰もが忙しいということである。さらに、生活するためには金はどうするのかということもある。けれども、これは1人で解決しなければならないことではない。まさに、社会制度的な問題である。そして、最近、思っているのは、国レベルではなく市とか地方レベルで変えることだ。経済の循環が力につながることだ。どこのスケールで動けばいいのかはいろいろあるとは思うが、そうした取り組みがブロックとしてできるとよい。たった一人で孤立した「島」になることは苦しい。

 私自身さまざまな市民運動に参加したり活動を見てきたのだが、難しいのは行政とあまり仲良くないことである。行政側にも聞く耳がない。たまによい人がいるのだけれども、それが人事異動で別の人に変わってしまうと駄目である。行政とつなげることが難しい。それをなんとかしないといけない。

工藤陽輔氏 ひとつの方向性として私も高野さんも加入している「町づくり委員会」がある。町民が参加して町に提言する組織が小布施にはある。私はいろいろなところに住んできたが他の町にはなかった。人のつながりがあることが大きな利点である。例えば、この場でアイデアを出して、そのアクションは「まちづくり委員会」でやると。マックグリービーさんの考えを聞いていてそう思った。

マックグリービー准教授 素晴らしい。そういう「場」があればいままで説明してきた海外の事例とまさに同じである。

最先端テクノロジーを活用しオルタナティブな流通システムを作る

高野薫氏 「ビジョンを作る」と言われたときにインドのムンバイで1000円で売られているイチゴの事例があった。いまの小布施でいれば、これがシャインマスカットにあたり、そこだけみるといい農業のイメージがあるが、それは持続可能ではない。ビジョンをどう共有していったらいいのか。

会場意見 農業所得が稼げるところはそうしたビジョンになってしまう。そして、それは自給圏のビジョンとはかけ離れている。他から移住して来た人、あるいは、元から地道にやっていた人は角に追いやられて、声が大きい人がメインとなる。こうした現状に対して何かアドバイスをもらえれば。

マックグリービー准教授 確かにビジネスの要素は大きい。けれども、その消費者は誰だろうか。ある程度、ボリューム(ロット)がないと出荷する先がない。米国の事例を聞いていたら「流通が一番問題だ」となっていた。そして、京都でも軽トラを使ってボックススキームをやっていたのだが、どうしても値段が高い。そこで、いま出荷がアマゾンになっている。こうした中で、半分農家、半分野菜トラックみたいな人がいて「いつも動いているから途中で取りにきますよ」というシステムを作っている。京都の「オーガニックアクション」というグループが立ち上げた。フェイスブックを活用して頑張っている。

 まさに、オンラインでのグーグルフォームでロジスティックの問題の解決策は見えてきた。ある程度、集まるのであればフードハブができる。まさに、これは地域全体のフードシステムの問題である。

高野薫氏 小布施町の自給率はどれだけなのだろうか

市村良三・小布施町長 農業全体ではない。

高野薫氏 農水省がいうようなICでは未来が見えない。そして、タネの問題もある。多国籍企業にやられてしまうと安心して食べられるものがなくなってしまう。どうすれば安心して食べられるのか。ここは都会とは違う。野菜ぐらいならば自分の庭で食べられればいい。

市村・小布施町長 種子法に関しては、埼玉、新潟県は条例化しているので、市町村からも県に作るよう働きかけていきたい。

高くてもきちんと消費者が買うことが農業を支える

中村雅代・小布施町議員 上高井郡で「明るい女性の集まり」があった。そこで出たのは、「忙しくて流通先にもっていくゆとりがない」という声が多かった。アプリがあったらIT化が避けられないと。そして、明るい農家の未来を保障するのは消費者である。安全・安心を高くても固定的に買う。それができていればいい。消費者がもっと賢くなればいい。

 また、後継者の問題でも行政との温度差の声が多く出た。借りようとおもったら荒廃地がきたとか、行政への不満がでた。それも聞いてもらわなければいけない。詐欺になってしまう。議会としてはチェックしていかなければいけないと思う。

 また、ネットワークが必要。農機具のレンタル料も高い。とにかく合併して遠くなってしまったと。話してみてそうしたことがわかったと。

ゆとりの時間がキーワード

マックグリービー准教授 誰もがそんな状況である。京都ではビジョンづくりをやっている。そして30年後の理想が「自分が野菜が作れる時間がある」といったことが出てきたりする。すると、どういう生活が必要かと。自由時間を作るための政策になってしまう。自由時間がないために変な食生活にもなってしまっている。

 お話したように現在は、生産しすぎている。消費しすぎている。自然資源を使いすぎている。経済的には「日本はもう成長もしていないし、それではいけない」というイメージがあるのだが、環境問題を解決するためには、いままでの働き方をダウンしていかなければいけない。そうした考えがあると、食べ物を作ることは環境に影響がないのだからもっとそれをやるべきである、ということになる。子どもと過ごせる時間もそうである。そして、料理とか食が生活全体の中心となる。忙しいと感じているし誰もがストレスがある。そこで理想を考えようと。

高野薫氏 私は今年農家レビューした。以前には看護士をやってきたので、効率とかが素晴らしいと思ってきて、その頭があったのだが、価値観を変えないと農業はできないと思った。

工藤陽輔氏 農業をやっているがサラリーマン時代と比べてそれとは違う忙しさがある。一人でやっているのですべて荷造りをしたりして、下手したら今日はまだ何も食べていないということがある。朝は食べてはいないのだが。そこで、誰々が「長野市に行くので野菜持っていってあげるよ」というだけでも有り難い。誰もが個人個人でやっている。農家も個人プレーである。

マックグリービー准教授 CSAは皆さんご存知だと思うが、京都にはCST、トランスポテーションがある。ものすごいアイデアである。

小山郁代氏 NAGANO食と農の共同代表をしている。まさに自分たちがしているのは「ハブの機能」だなと思った。有機野菜を生産されている方は点在されているので最初は集めるだけでも時間がかかった。欲しい人も今でこそ増えてきたが何年も前には地元ではまず認めてもらえなかった。ずっとこうした仕事をしてきたが、農家も地元の子どもたちに食べてもらいたいと思っているし、地域で互いに自給自足する仕組みを作っていきたい。小布施の取組みは魅力的である。色々な話をありがとうございます。

小布施農業の課題がわからなければ議論ができない

桜井氏 山ノ内町から来た。小布施の農業で何が問題になっているのかがわからないためアイデアが出てこない。問題を出してもらえれば。

工藤陽輔氏 JA出荷していないので私は農家一般の問題がわからないが。

理想と現実のギャップ:どうやって稼ぐかが問題

清水みさ氏 問題点としては稼ぐためには理想の実現が難しいということだ。子どもにメシを食べさせるために農協出荷しているのだが、それを転換することが難しい。理想とする形と農家で食べていくためで、転換を迷っている。工藤さんは有機農業にチャレンジしているのでもともと農家のやり方とは違う。

工藤陽輔氏 ポンと農協に出すというのが楽だとは思うが、それをやってしまうといいものを作ったとしても、その対価が来ない。どうしたらいいのか。今は手をかけていかに高く売るかを考えている。

桜井氏 工藤さんの場合はバランスなのか。手間がかかっているが。

工藤陽輔氏 自分の中でもいったりきたりだ。

清水みさ氏 1人でやるのと大量に作っても出ていくものも多いので対価があまり得られない。同じ悩みを抱えている。

高野薫氏 それが農家が儲からないところにつながっていく。

給食で買い支えたり、消費者の理解があれば安心して有機農業を始められる

小山郁代氏 町長さんに地元の農産物を是非給食で使ってもらいたいと思う。地元の野菜を給食で使えば税金をかけても地元経済が強くなっていく。そういう事例も出てきている。

竹内淳子氏 生活クラブ生協の小布施支部に所属している。私たちも野菜も売っているが、「たぐいまれ」とかの名前が付いている。在来種のニンジンだ。そこで、それを買っている。工藤さんが有機で作っているのであればそれを私は買いたいし、それが流通すればいい。消費者からすれば地元の人が作ってくれればいい。小布施町内で循環していけばいい。子どもたちが食べて安全であればいいなぁと。私の孫が将来住むかどうかはわからないが、もし、小布施がそうなっていればここで育てなさいと言うと思う。

渋川善彦氏 中野市から来た。私は無農薬、有機農業を考えているが、そして、工藤君がそれをやっているが10人の消費者が「あなたの生活を守るから農産物を送ってちょうだい。3万円を買いますよ」と。こうなれば、安心して生産ができる。つまり、消費者が支えていければいいのかなと。

高野薫氏 農産物の値段は市場価格で決まっている。生産原価がいくらだからで決まっている。つまり、生産原価の保障方式。その小布施バージョンができればみんなが安心して食べられる。

吉田百介氏 私も工藤さんが作ってくれたものを食べさせたいと思うのだが、自分はもういい。子どものためである。そして、子どもたちのことを考えれば、長野も終の住処かなと。小布施の方がいいなと思うから応援している。すべては、うちの子のためです。

奥田亮氏 いままでの話を聞いていてどうも八百屋がいるのかなと。それが農家の支援にもなるし。

栗原宏幸氏 私は野菜の専業農家だが、経歴を言うと以前は種苗会社、農薬メーカーにいた。そこで、なるべく農薬は使いたくないのだが、土地が悪いため最低でも使っている。とはいえ、自分が食べても安心できるものを作りたい。そして、小布施は果樹が盛んなのだが、野菜の専業でやっている。そして、ローカルに届けたい。ローカルをターゲットとしている。けれども、直売所でやっていたら売れない。逆に関東近郊の人たちが高くても買っていく。販売チャンネルが十分にできていない。現状では色々な制約があって差別化の販売ができない。工藤さんのように100%有機であっても、その名前を知らないと価格競争になってしまう。安かろう悪かろうで丁寧に作ったものが売れ残ってしまう。そこで、個人での努力は必要だとは思うが、個人の活動を政策的に広めていく支援が必要だ。幼稚園や学校で農産物を使ってくれれば嬉しいし、今はそれが限られている。

消費者は安かろう、悪かろうを選んでしまうし、田舎では売れない

高野薫氏 いまの消費者にはそこまでの意識がない。経済をどう考えるか。以前にその土地の企業の収入があがればそれが税金になるという話を聞いた。そこで、お布施のモノを買おうと。けれども、結局は、安いモノを選択してしまうのが世の中の一般の常である。それを変えたいなと。

栗原宏幸氏 田舎では野菜は買うものではなくていただくものだと。同じ品目だと売れない。品目を変えるしかない。プロでしか作れないものもあるので挑戦していきたい。

工藤陽輔氏 確かに長野のように豊かな土地柄で売るのは大変である。

栗原宏幸氏 観光客だのみである。観光客であれば倍の値段でも売れていく。どこか矛盾しているが、現状の直売所のチャンネルでは販路に限界が見えている。ハブとなる場所があれば生産者も安心できる。

マックグリービー准教授 小布施では買う気持ちになる。食べ物では良いものを買いたいし、農家から考えると色々な戦略を考えなければならない。私の妻も野菜の値段にはものすごく厳しい。京都はものすごく物価が高いからしょうがない。応援の気持ちで消費をしている。消費者ではなく「共同生産者」だと考えている。私が買うから彼も彼女も生産できると。そういう関係性があると思う。経済循環を考えれば高くても買わなければいけないと。そういう気分で買い物をすると。

浜崎愛氏 半分カフェ、半分田圃をやっているが、自分のところではカフェに出す野菜すらも足りない。そこで、周囲の農家からいらないものをいただいている状態。それでも、カフェでも消費しきれないほどたくさんもらっているため、それをどうにかしたい。いただいた余った残りの野菜を加工して製品にして農家に返すようなことをしてみたいと思っている。加工場を持つのはハードルだが、廃校になった小学校にキッチンができればよい。そこで、コンペに出てみようかなと思っている。

 流通も大事だけれども、そうした応援ができればいい。とにかく、いまの値段はとても割りがあわない。そして、生鮮物なので時間との勝負である。いまの現状では、儲けるといっても長野の豊かな土地では地元では売れない。付加価値を付けて自分の家でもやっていける仕組みができればいい。

 小学校の廃校でシードル工場を飯綱では作っているので、お酒という方法もありだし、それを農家が加工場をまわせるように月に味噌を造って売りましょうと。そんな利用が出来たらいいと思っている。

高野薫氏 町というけれども共同体だと思えばいい。飯綱も注目している。

浜崎愛氏 長く農家をやっている人とは意識のずれを感じる。未来会議をやっても難しいのではないか。むしろ、結果を出して、そこから巻き込んでいく方がやり方の方がいいと思っている。

次回講演会のご案内

20190224島村さん講演会チラシ-001.jpg竹内淳子氏 次回は島村菜津さん講演会がある。未来会議の3回目である。イタリアのスローフード運動を紹介してきた人で、長野県に来るということだし小布施町が好きだということでお呼びした。有機でということで小布施ワイナリーも好きだと。つながりもあることでお呼びできることになった。2月24日。当日が1200円。よろしくお願いします。

【画像】
バックキャスティングの画像はこのサイトより
会場の写真は工藤陽輔氏提供
トロントのFPCの画像はこのサイトより
トットネスの画像はマックグリービー准教授提供
ロブ・ホプキンス氏を囲んで現地を調査する名古屋大学の立川雅司教授、京都大学の秋津元輝教授や平賀みどり博士。

編集後記

 2019年1月17日夜。新年早々に小布施町で第2回「OBUSE農と食の未来会議」が開催されるというので聞きに行ってみた。場所は『トポス』。「場所」を意味するギリシア語だそうで、古民家を改造したオープン・スペースだがなかなか味がある。2回の会場にあがると座る場所もないほどの満席で冬だというのに人の熱気が満ちていた。質疑応答をみていただければわかるように町長も参加していた。長野市ともなればこうはゆかない。これが小さな町の良さだ。スモール・イズ・ビューティフルだ。

 で、意見交換をみると結局、「安物買いの銭失い」ということに尽きるのではないかと思ったりした。1円でも安く買おうとスーパをえり好みする私ども消費者も、法制度を改革することで漁民から漁業権をむしり取り、グローバル企業に叩き売りすることによって短期的にだけ漁業資源を枯渇させてでも安くゲットすることを狙う日本国中央政府も発想という意味では同じことをしている。

 であれば、変革の拠点はどこにあるのか。まさに、ウォーターシェッド。つまり、流域単位で変革していくしかない。なお、第3回は2月24日にスローフード作家、島村菜津先生を講師に招いて町役場の行動で開催されるという。是非、多くの方が参加され、小布施の人々の胎動を感じられることをおすすめしたい。
(2019年1月19日投稿)



posted by José Mujica at 22:44| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする