2018年03月06日

種子法廃止とこれからの日本農業について・山田正彦氏

米国も批准できないTPP交渉内容が種子法廃止の裏にある

TPPbooks.jpg 若い頃に牛を買っていました。400頭。豚も年間に8000頭を出荷していた。肉屋も6店舗。県庁前で牛丼屋もやっていた。散々失敗しました。若い頃に4億円の借金をした。弁護士の資格だけはもっていたましたので、それをやって。悔しかったから選挙にでました。負けて負けて負けて4回目に通って、5期させてもらって農水大臣をさせてもらいましたし。そして、農水大臣のときにTPPの問題がでてきて。閣議で官房長官と大げんかして、大臣を止めたんです。それから8年になります。ずっとTPPの反対をやってきた。そして、トランプの反対でなんとかTPPは発行できなくなった。死んだと思っていたらゾンビのように生き返ってきました。今月の8日にチリでTPP11の署名式が米国を除いて11カ国でされます。これはね。8000ページもあるんです。でも、日本が批准した時には実は6300ページでした。日本政府はそれを翻訳しようとはしなかった。そこで、私たちは、TPP違憲訴訟弁護団は弁護士だけで157名の弁護士、実際にやっているのは15、16人で、彼らが頑張ってやっているんですが、学者、大学の先生、パルクの内田聖子さんのような人たちと分析チームを作った。30章もあるですが、皆で検討して資料集も作り、それをもとにこの間の国会で論議させていただいたんです。で、今日、25冊ほど持って来たんですが、こいう黒塗りののり弁の中に分析した結果を「アメリカも批准できないTPPの内容はこうだ」というのを書いたのですが、今回の種子法廃止もまさにそうなんですね。

6月までにTPP協定を国会で審議して批准することで生活がドラスティックに変わる

 そこで、早速、種子法の話をさせてもらいたいのですが、先ほど安田さんが説明してくれたように「規制推進改革会議」の提言に日本政府は従うということで、それで、どうなっていくのかというと、これはTPP交渉の第17章、国有とか公共というところで、地方自治体や公共事業について書かれている章があるんです。そして、私たちが普段に、例えば、市役所だと水道、学校教育、あるいは医療介護とか、いわゆる公的サービスを受けています。かつては郵便事業もそうでしたね。そこには、日本だけで約70兆円の市場があるとされています。これをTPP第17章では郵政のように民営化すると。アクラックに乗っ取られてしまう。米国の多国籍企業に乗っ取られてしまうことになる。そういうTPP協定に日本は署名してしまった。よって水道法が今度改定されます。市場法も廃止され、今回、チリでTPP11が発行しますが、その内容は8000ページのTPP本文の上に十数ページが上書きされたものなんです。ですから、TPP協定の内容そのものは日本でも発効される。そして、それを6月までに国会に審議して批准してしまう。その間に10本の関連法案を通すことになる。その中には著作権法とか大変な法律もいっぱい含まれています。これによって我々の生活はTPP協定によって本当に大きな変化がなされようとしている。

Taro-Asou.jpg 例えば、水道法について一言申し上げさせていただきますと、2013年に麻生副総理が米国にいって「各自治体が持っている水道、飯田市が持っている水道事業をすべて民営化します」と米国の企業、ベクテル社とかに約束をしてきて帰ってきた。当時の麻生副総理の生の声がネットで誰でも見れますから。それでいよいよ、水道法民営化でそろそろ新聞に水道管が長くなって腐敗してきたとか、老朽化して金がかかるから民営化すると。これは嘘っぱちだ。水道管とかインフラ部分は各地方自治体、国の責任なんです。運営だけを米国のベクトルとかフランスのヴェオリアとかにさせる。例えば、2年前に愛媛県の松山市が水道を民営化したらどうなったか。水道料金があっという間に5、6倍にあがった。もうすぐそういう審議が始まります。

種子法のおかげで安くできていた米の種子の値段が4〜10倍にあがる

 さて、種子法があることで、米、麦、大豆の伝統的な在来種を増殖して農家に安定して供給すると。その結果、なんの心配もなく食べられてきた。あたりまえだった。ところが、これがどうなっていくのかというと。農業試験場、例えば、長野県の試験場とかですが、これは茨城の試験場ですがコシヒカリの原々種を作っています。そして、一本ずつ植えている。なぜかというと同じコシヒカリでも系統毎に交雑がないように植えている。こういう中で異株を取っていく。試験場の場長さん、横田さんが言ってくれたましたが、タネというのは不思議なもので赤米があったり、黒米がでてきたりするんです。コシヒカリの原々種で。丈が高いひょろっとしたのがでてきたり。咲く時期がバラバラになったり。それを一本ずつ除いていって、そして、次の年に県の24㏊の広いところで、前の年に作った試験場の原々種を元に原種を作るんです。県が5回、6回やれば間違いのですが、一人だけでやると見間違いもあるので皆で異株を取り除く作業をやって、3年目にようやく種子の農家、谷あいのところ、花粉の交雑がないところで選んで、種子法によって圃場も県が選んで生産者も県が設定してビシッとタネを作る。できたタネモミ、収穫した米は各農協、茨城県では6つの種子センターがありますが、そこには工場みたいな大きな建物がある。乾燥され、種子が生産されて、4年目にようやくコシヒカリをだいたい茨城県のときにはキログラム500円、一番安いのは石川県の350円ですが、売り出す。で、同じコシヒカリでも、茨城県では30年。福井県から持ってきて茨城県で育てたらもう福井県に持っていっても育たないだろうと言われましたね。それだけタネは不思議なものなんですね。で、こうしたタネが日本ではだいたい500円か600円なんですが、これがさきほど安田さんが説明したようにだいたい4倍、10倍の価格になっていく。

 さきほど野菜の種子の話もしていただきましたが、30年前には野菜の種子も全部が国産だったんです。今は米、麦、大豆は100%が国産ですが、野菜の種子は90%が海外だ。で、どこで生産されているかというと、皆さんもホームセンターに行って種子を買えばわかるように、世界各国で栽培されていますね。

野菜の種子は90%が海外産でかつF1になってしまっている

 この前、茨城県にあるモンサントの試験圃場の見学会に行ったんです。私の名前で申し込んだらはねられるかなと思って息子の名前で申請したら、行ってみたらちゃんとバレてました。そこでは、撮った写真をブログにする時には許可がないといけないという念書を書かされましたが、そこで、大事な話を伺ったんです。日本の野菜の種子はモンサントで作っていますと。でも、どこにもモンサントと書いていないなといってそれを聞こうと思ったら、「委託販売をしています」といわれました。で、これまで、稲、麦、大豆は100%であった国産もそうなってしまうのではないか。トマトの種子は30年前までは一つが1円か2円でした。今は40円か50円です。しかも、F1になっている。それが健康にいいのかどうか。固定種をやっている野口種苗さんは、ミツバチの例をあげて、男子の精子の数が1万2000もあったのが4000にも減って、男性の2割が不妊症になった。NHKの特集でもやっていましたけれども、何が原因なのかというとNHKの特集では化学物質ではないかということですけれども、野口勳さんにいわせると違う。私もね、タネのないものを食べ続けるのは。F1の種子は雄性不稔といってその子孫はタネがない。米国が赤タマネギでそれを見つけて、それからF1が種になったんですけれども、ですから、タネがないものを元に作っているんです。自然の摂理にあっていないものを食べ続けると科学的な話ではないですけれども、なにかあるのではないかと思っています。

住友化学の「みつひかり」やモンサントの「とねのめぐみ」

 さて、この写真は住友化学の「みつひかり」なんですけれども、これは非常に丈夫な品種です。たしかに台風が来ても倒れないくらい頑丈なんです。で、どちらかというと私が大臣の時に飼料米をやりましたけれども、その飼料米の品種に近い。多収穫のインディカ種の系統です。そうした品種に近い。それを作ると富山の生産者が言っていましたが、強いから普通のコシヒカリとかを刈るコンバインだと歯が折れてしまうと。歯を取り替えるのに20万円もかかったとぼやいていましたけれどもね。実はこの「みつひかり」を農水省は種子法の説明の時に、全国の8カ所で説明したのだが、これは牛丼屋で使われていると説明したんです。私も食べてみたがそんなに美味しいとは思わなかった。収量はふつうのコシヒカリの1.2~1.5倍。最初の年は少し多く取れるようです。けれども、だんだん取れなくなっていく。窒素肥料をたくさん使うので土地がどうしても追いつかないという事情があるようです。

 次が「つくばSD」です。これは、冷えても美味しい。そこで、セブンイレブンで売られています。ミルキークイーンを混ぜた。けれども、丈が高いから倒伏したり病気にかかりやすいくて作りにくい。それを強い品種と掛け合わせた。食べてみると粘っこい。

 これは日本モンサントの「とねのめぐみ」です。これは非常に丈が低い品種で風に強い。長崎県の風がよくあたる地域では倒伏しにくいというので作っていました。モンサントの種というのは僕が読んだ本では最初の年はタダでタネモミをくれると書いてあったので「どうだった」と聞いたら「いや私は払った」と言っていました。で収穫はどうだったと聞いたら、まあまあだったと。ただ2年目からダメで3年で苦しんだといいます。

農家を奴隷化するモンサントのシステムは日本でも出来ている

とねのめぐみ.jpg さて、日本モンサントの代理店会社、(株)ふるさとかわちと生産者は契約書を交わしていました。その中に「ふるさとかわちの指示に従わない場合は、日本モンサントに生じた賠償を全て負わなければならない」と契約書に買いてある。そこで、「こういう農薬を使え、こういう肥料を使えという指示はあったか」と聞いてみると、「いや、何もなかった」と。で、色々な資料も見せてもらいました。味はコシヒカリ以上、収量は120%と色々といい事が書いてある。でも今はそこまでないので、彼は止めたようです。

 次が「つくばSD」。住友化学との契約書ですが、これは12ページあり、かなり詳しい。これは必ず、指定した農薬、指定した化学肥料を全量使わなければ賠償責任となっている。そして、収穫した米は全量を指定したところに出荷しないと賠償責任を負うと。そして、価格は収穫後にそのときの収量やそのときの価格他で、甲乙が協議して、話し合って決めると。これが対等にできると思えますか。農家のいう通りになりませんよね。「みつひかり」の生産者は石川県でしたけれども、聞いてみると最初の年に60kg12000円が次の年は10000円、次の年が9000円だったと。それでもう止めましたと。そこで、「止める時に何か言われなかったか」と聞いたんです。そうしたら幸いなことに口頭でまだ契約書を結んでいなかったんですね。もし、契約書を作っていてこれを止めようとするとならば、継続的な契約関係だから、正当な事由がないと簡単に止められない。莫大な損害賠償責任を負わされる責任がある。

 それから、もうひとつ。やはり作物というのは災害があります。どうしようもないときがあります。こうした災害のときに危険負担というのが法律上もできます。そして、住友化学の責めに帰すべき理由以外はすべて生産者が責任を負うとあります。災害の時に住友化学が責任を負う理由はない。すべて生産者の責任で作りなさいと。災害とか地震とかのときには生産者の責任で作りなさいと。そして、住友化学に損害を与えた場合にも、生産者の責任ですよという契約書なんです。非常に一方的でしょう。そこで、モンサントの契約書を思い出しました。「みつひかり」の富山県の砺波市で作っている生産者組合の前の理事長さんから昨年の10月11月に聞きました。三井化学から若い社員がきて「お宅の田んぼの収量はこれだけです」と表を見せたと。で、若造になにがわかるかとコンバインを入れたら、あちらこちらで一株ずつ抜かれておった。つまり、三井化学は調査員がいて一株ずつ抜いていって籾の数を調べ収量や品質を計算していた。すでに調査員制度は、モンサントがカナダ、米国、南米、アフリカ,インドでやったような調査員の制度が日本でもすでに出来あがっている。

寡占状態だと天文学的種子の値段をつけられても逆らえない

 そして、世界の種子市場はほとんどモンサント等が握っている。これがどんな意味を持つのかというと、医薬品だと思っていた。

 子宮頸癌ワクチンをご婦人方に強制的に摂取しました。これは、日本政府がアイザックから7万円で買わされたわけですが、その原価は化学合成物質なので100円足らずなんです。トランプはTPPを離脱してよかったと思ったが、もう一つ良いのはアイザックとかの製薬会社を集めて「アメリカの医薬品は天文学的数字ではないか。これをなんとかしないとアメリカの医療はもたんと」と言ったんです。確かに薬もそうですよね。ですが、考えて見たら米国の狙いは種子であったかもしれない。なぜかというと寡占状態にある。そして、特許商品である。医薬品と同じ。だから、野菜のタネが40倍とか50倍になっているし、いまでもみつひかりが10倍もするように、これが何十倍、何百倍になっても、寡占状態ならばやろうと思ったらできることになる。種子法が廃止されて原種、原々種の生産ができなくなってきます。すると民間の種子に頼らざるを得ない。そして、民間の種子は米国の数社の会社が握っているとしたら、どのように価格を高く付けられても、天文学的数字をつけられても、その恐れがあると思っています。

多様な品種があるから食料危機を克服できる

 もう一つ言っておきたいのは、日本の米、北海道の「ゆめぴりか」、九州の「ヒノヒカリ」まで300種も奨励品種(在来種)がありますが、実際に作られている品種は1000種ぐらいあるんじゃないかと。風土、土壌によって違ってくるのでいっぱいあります。「ゆきひかり」という品種を聞いた事がありますか。違憲訴訟の弁護団の一人が使っていました。子どもがアレルギーなのですが、アトピー性にいいと言われています。そういう多様な品種がある。

 例えば、有名な話ですがアイルランドはジャガイモがウィルスにやられて、大変な食料危機になってメイフラワー号で米国に新植民地を求めていったんです。緑の革命でもIRRI、フィリピンの国際イネ研究所(IRRI, International Rice Research Institute)のインバイという米が初めて化学肥料に対応して、アジアのコメが白葉枯れ病になり、全滅しかけた時に、インドの種子がひとつ、その耐病性を持っていてアジアの米は救われた。多様な品種を持つことは非常に大切なのですが、今回の種子法廃止のときと同じ時期に通された農協潰しの「農業競争力強化支援法」の第8条3項は「日本は銘柄が多すぎるので集約する」とある。わかりますか。「みつひかり」のF1とか。豊田通商が「しきゆたか」というF1の種子を茨城で作り始めます。そういった民間のいくつかの種子に集約してしまう。言ってみれば、種子法を廃止して、原種、原原種ということを止めて、数種の銘柄に集約するという法律をなんと政府は通してしまったのです。もうひとつ大事な8条4項は、どう書かれているのかというと「これまで日本が蓄積してきたコメ等の原種、原原種、優良品種の知見をすべて民間に提供する」となっている。そうなるとどうなるのか。メキシコの農家は、NAFTAを結んだら、メキシコはトウモロコシの原産国ですが、そこの種子の特許を米国のシンジェンタとかが応用特許を取ったら、今度はその品種を使うにはロイヤリティを支払わないと作れなくなった。自家採取も禁止。フィリピンのコメ農家もそうなった。日本も、これまでの色々な良い品種も、良い知見も、モンサントやシンジェンタが倒伏しないとか病気に強いとか、応用特許を取ったら、日本のコメ農家も特許料を払わないとコシヒカリとかが作れなくなる恐れが出てくる。この知的財産権は、我々の税金で各都道府県が覇を競って優良品種を開発してきた。つくばの農研機構がコメだけで5万種ぐらいコメ品種を集めていますけれども、年間2000億円ですと。こうして積み上げて来た我々の知的財産を「無償で提供するのか。どこに提供するのか」と国会で聞いてもらいました。もちろん、無償ではない。契約してきちんとやりますというんですが、加計学園や森友学園のようにタダみたいにやるんではないか。そして、もうひとつ国会で「海外のモンサントとかデュポン、シネジェンタから申請があってもやるのか」と聞いたら、今の斎藤(健)大臣が「当然です。TPP協定で内外無差別ですから」と答えている。するとどうなるか。

日本のタネの知見を出せと命令している事務次官通達

奥原次官2.jpg 安田さんも少し説明したのだが、衆議院は5時間足らずの審議だったのですが、参議院ではなんとか時間を取って付帯決議をつけたのですが、「その中に原種、原原種について予算を確保するように努める」としあったので、4、5年はなんとか大丈夫だろうと私は思っていました。そして、種子法は今月いっぱいですが、その3カ月前に農水事務次官はこういう通知を出してています。私は本当に驚きでした。3ページぐらいのわずかなものですが、最初に「次官の命により運用規則等をすべて廃止する」とある。例えば、圃場があればどこでやるか。発芽率は40%以上とか非常に細かい規則が書かれていたのが、それを全部廃止すると。いいですか。「都道府県に一律に制度を義務付けていた種子法及び関連通知は廃止するものの、都道府県がこれまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない」と。これは、各都道府県が勝手にやるのは構いません。しかし、これからは予算はつけられませんよと言っているわけでしょう。このまえ農水省の穀物課長と一緒になったんで「おい、これじゃあ、予算の確保ができないじゃあないか」と言ったら、「いやぁ、なんとか頑張ります」と言っていた。けれども、その後、こう書かれているんです。「民間事業者による稲、麦類及び大豆の種子生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担う」と。つまり、その間だけは原種、原原種を維持して種子を生産する。その間はやりなさい。それが終わったら、参入してしまったら、原種、原原種の生産はしてはいけませんよ、といわんばかりではないか。そして、その間、農業競争力支援法8条4項の項目をもう少し進めて、その間に「これまでの育種技術を民間会社にすべて渡してしまいなさい」という国からの農水省からの命令ではないか。これに、各都道府県や市町村の農水関係者が、反対できるのだろうか。私も大臣をやって行政がわかっていますから、これは国の命令になるじゃないかと農水省に言いました。

遺伝子組み換え農産物が国内で作れなかったのは消費者が買わないから

 安田さんも先ほどいいましたが、遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシがどんどん栽培され始めるのは1999年くらいからだが、1995年くらいには開発されていたのかな。すでに1999年にモンサントは、ラウンドアップの耐性をコシヒカリで開発していますね。正確に言えば開発していた会社を買ったのですが、そして、2000年の3月に日本で遺伝子組換えの試験栽培を認めています。そして、2001年に愛知農業試験場と協同研究を始めるんです。

 ですけれども、韓国はいまだに遺伝子組み換え農作物の試験栽培を絶対に認めていないんです。で、グリホサートは水に弱い。そのために、愛知式、乾田、乾いた田にコーティングして直播して出てくる苗。乾田のままはえて来た苗を雑草と一緒にグリホサートを撒いて、コメ以外のものを全部枯らしてから水を入れる。この「愛知式」のやり方を協同開発したわけです。そして、これが将来、日本のコメ栽培の主流になるかもしれない。

 日本の独立行政法人、茨城にある農研機構では、イネの三大病、イモチ病、白葉枯病、ゴマ葉枯病に抵抗力があるWRKY45の開発に成功している。というので、これを実際に見に行ってきました。左側の写真がWRKY45、右側にあるのがゲノム編集によるスギ花粉に強いものです。こういう品種がつくば農研機構で用意されているのです。こういった知見がモンサントに流れていくと、除草剤耐性、草を取らなくてもいいよ、病気にもならないよ、収量も2割、3割アップするよという夢の品種として、遺伝子組み換え米を日本でやらせるというのが、今の安倍政権の腹ずもりなのではないか、と思われます。

 安田さんが180種類ぐらいの遺伝子組み換え作物を作っていいということに今でも日本ではなっていると言いましたが、なぜ作らないのかというと。遺伝子組み換えの米をこの長野の飯田、伊那で作って売ろうと思って申請したらどうなるかと。農水省に聞いてみました。そうしたら、こう答えましたね。「もう一度、カルタヘナの承認が必要です」と。この前の国会でカルタヘナ法も改正されたのですけれども、「承認がすぐに取れるか」と聞いたら、「日本の食品安全委員会は遺伝子組み換え食品は安全である」と言っているので、これを断る理由はないのではないかと答えた。

TPPによって食品表示が変わり日本独自の表示はできなくなる

 そうなると、なぜ、作らないのかというと、日本の今の法律の制度では遺伝子組み換え食品の5%以上の混入は表示しなければならないと。これは、私は法律でそうなっているのだとばかり思っていましたけれども、よくよく調べてみると内閣府令。安倍総理が「明日から遺伝子組み換え食品の表示を止めます」と言ったら、すぐに変えられるんです。いわゆる「命により変更できる」という奴です。そこで、気になるところです。安田さんが何度も言いましたように、安倍はTPP協定が有効だといって、いよいよTPP11を日本でも発効させると言っているわけです。

 そのときに、TPP協定は、第2章19条に「現代のバイオテクノロジーによる農産物、魚、加工品」と定義し、第27条8項では「遺伝子組み換え農産物の貿易の中断を回避し、新規承認を促進すること」と書かれている。となると。先ほどの魚が日本に入って来てしまうことは断れない。遺伝子組み換えのイネもモンサントは少なくとも約24種類試験栽培が認められていて、国の強化さえあれば作れると。そして、出来たものが申請だされてきたときに、拒否できない。

 それでは、TPPでは食品の表示はどうなっているのかというと、中央政府による食品の「強制規格」と「任意企画」と書かれているところがあるんです。そして、「強制規格」とは何かというと、遺伝子組み換え食品の場合には、5%以上であれば表示しなければなりませんよと義務付けしている。強制的に義務づけしていますから、「強制規格」です。「特定保健用食品(トクホ)」のお茶とかは「任意企画」です。そして、こういった「強制規格」についてはTPP協定ではいわゆる日本独自で決められてきたことがそうではなくなります。ではどうなるのかというと、米国の者を入れて、モンサント等の利害関係者の意見を考慮して決めるとなっている。食の安全等を考えながら決めることになっています。実際には11カ国で作業部会を作って決めると。遺伝子組み換え食品を表示するのか、するとすればどのように表示するのかを決める。そして、日米TPP並行協議による交換文書では、強制規格等について日米で作業部会が設置されるとなっているので、強制規格についてはすでに設置されているんではないかな。

 11月から消費者庁で審議が始まっていますけれども、そこに「日本のタネを守る会」の事務局の杉山敦子さんが行ってみたら、バチバチ写真を撮る人がいたので「失礼ではないですか。名刺ぐらい出してください」と言ったら、最後に渋々名刺を出したら、その名刺は米国の大使館員だった。3月までに消費者庁は遺伝子組み換え食品についてどうするのかを決めるとなっている。

 小麦でBSEとかTPPの関係で、米国に十数回も行きました。政府関係者とかと会って来た。そして、全米小麦協会のアラン・トレーシー会長に2度目に会った時、2年前ですが、それまではトウモロコシや大豆でやっていても、なんで小麦でやらないのかと聞いたら、さきほど安田さんも言ったとおり、「あれは家畜が食べるものだ」と。農務省の便務次官も言っていましたが、今度はトレーシー会長の言葉が開けた。「山田さん、いよいよ米国も今度は小麦で遺伝子組み換えをやりますよ」と。そして、その時に何と言われたかというと「アメリカでも遺伝子組み換え食品については非常に抵抗が強いので、山田さん、日本で食べてもらいたいと思っている。どうぞよろしくお願いします」と先にそう言われてちゃいまして。で、2016年の日本農業新聞の記事で「GM小麦日本も視野」と書いてありますが、正確には「日本が視野」です。

国産はおろか産地表示すらできなくなる

 じゃあ、国産の表示ができればいいじゃあないかと。ところが、2015年に米国とカナダとメキシコがNAFTAを結び、例えば、カナダで育てた牛肉を米国のスーパーで同じように売れるわけです。そして、そのスーパーでは日本人もそうだけれども、どうしても米国人が国産のものを買う。それはWTO協定の第2章の1条と2条に違反する、自由貿易の促進に違反するとして、カナダ政府とメキシコ政府が米国政府を訴えたんです。すると、WTO協定のパネルで、1審、2審とも負けました。そして、2015年に米国は牛肉、豚肉、鶏肉等の国産表示を止めたと。TPP協定の第8章第6条でも、このWTO協定の第2章1条2項を準用しています。今でもタイソン等が、あるいはISDS条項、国家に対して企業が訴えられるという仕組みで、牛肉の国産表示があるから、米国の牛肉が売れないんだといって1兆円、2兆円の賠償請求をしてきてもおかしくはない。実際、カナダのガスパイプ会社が米国に対して4兆円の請求をしているところです。ISDS条項は桁が違うんです。だから、貿易促進となると最高裁の決定すらも変わってしまう。いわゆる多国籍企業の150人の弁護士のうちの3人が決める。最高裁の決定までくつがえされる。これがISDS条項ですし、そらからいくと、国産牛肉の表示も今やられたらできなくなる。

 産地表示ができるからいいではないかと。ところがTPP協定の18章の33条では、お酒やワインはいくらでも産地表示ができるのですが、『領域で日用語として使われ、種類を示すもの』は制限されます。農業新聞でも産地ブランドを推奨していて、各県で一つくらいは認められるように交渉しているようですが、自由貿易が始まったら、いままでのように自由な産地表示ができなくなるんではないか。実際、米国は「パルメザンチーズ」として産地表示している包装が不当表示だイタリアに言っています。春に署名されると言われている、日欧協定では、EU政府のチーズ産地表示を日本政府は47認める。そして、EU政府は日本のチーズの産地を17認めると。こうしていくと産地表示も自由に表示できなくなっていくのではないか。そういう心配がされますが、スイスの国際法の専門家サーニャ弁護士から聞いたら、主要閣僚会議でほとんどの各国を回ってきましたが、サーニャ弁護士から「山田さん、いよいよ米国がTPP協定で提示する付属書のひとつは、包装された食品に関する付属書は日本向けに出されるものですよと。よく注意しておいてくださいと言われていました。実際に明らかになった中身ですと、いわゆる食品の包装については必要なもの以外の記載は貿易の阻害の要因、貿易の障壁であるとなっています。例えば、この米は合鴨農法で有機農法でやったものです。一回しか農薬は降っていませんとか。これはどこどこの産地で誰が作ったものですというのは、貿易を阻害する記載になる。これはISDS条項の損害賠償、政府に対して向こうの企業が損害賠償できるということになります。 

産直の店表示もできなくなる

Kato-ThomasS.jpg 米在中のトーマス・カトウ弁護士、ニュージーランドのオークランド大学のジェーン・ケルシー教授とTPP協定の弁護団と産直の店の表示はどうなるのかと検討したら、トーマス加藤弁護士が看板のところに、「これは誰々が栽培した無農薬の米である」と書いて売るしかないだろうと。食品に表示したらこれはISDS条項の損害賠償になるからという結論になったんです。

 韓国は米韓FTAをすでに結んで、条約には国内法よりも上ですから、条約に従って200本の法律を換えている。条例もそうです。韓国にあった地産地消の学校給食の条例も9割が変わった。そして、実際にTPP協定交渉の時に米国に行ったら、当時、マランチェスが通商交渉の代表でしたが、私が「何を日本にTPP協定で求めるのか」と聞いたら、「米韓FTA協定を読んで下さい。それ以上のものを求めます」と。そして、同じことを外務省の事務次官補に会っても同じことを言われました。そして、韓国にいったらちょうど今の日本のように農協が解体されているところでした。地産地消の学校給食もなくなり、そして、韓国の農業はいま大変に悲惨な状況になっていることはご存知のとおりかと思います。

 では、各国はどうしているのかというと、米国もカナダも主要農産物は小麦ですよね。3分の2が自家採種。各州の州立の農業試験場や州立の大学で作る公共の種子です。オーストラリアは95%が自家採取、5%が公共の種子です。日本でも例えば、原種、原原種の維持ができなくった時に、例えば、「ゆきひかり」の場合にどうするか。自家採種したらいいじゃないかと。そこで、石川や香川で自家採取している農家にお会いしました。で、こう言っていました。3年間はいいけれども、3年をすぎたらば公共の種子に更新しなければ、雑種、コメの雑種と交雑して劣化していくのだと。野菜でもマメでもそうですよね。同じ土地で同じものをずっと作っているとどうしても収量が落ちて品質が悪くなっていく。そのために昔からタネの交換というのがなされてきた。

 だから、公共の種子がなくなったら、それをどうやって守るのかといったら、この前、静岡大学学長、育種の学者が言っていましたが、「原種、原原種が試験場でできなくなったら、山田さん、ひとつだけ方法がある。いい種子だけ鎌で刈って残すんですと」。江戸時代まではずうっとそれをやってきたと言っていました。ちょうどその話をしている時に加賀の農家から私に電話があって「北陸農政局から説明が来ました。話を聞いたら飼料米についての話でした。反当たり11俵以上とらないと飼料米に対する補助金を出さないよ」と言われたましたと。これは先ほどのハイブリッドのF1の種子、みつひかりですね。このように民間の種子を使わざるをえなくなってくる。そして、いずれ、飼料米から遺伝子組み換えの米を政府は「人体には害がないから」と言って作らせるのではないかと感じた。そういう恐れを感じました。

スイスでは憲法で食料主権を位置づけている

 こうして考えていますと、本当にこのままでいいのかと。実は、安田さんがスイスで(食料主権を)憲法に盛り込んだと言っていたましたが、昨年の9月24日に国民投票のときにスイスに行ってきた。国民の78%が賛成しました。スイスの場合10万人の署名を集めれば、国民が憲法を改正するための提案ができるんです。そして、5万人の署名を集めれば法律を作ることができるんです。直接民主主義ですね。そういうところを見てきました。そして、スイスの食料安全保障の政策については安田さんが説明しましたから、一言言いましたが、最初の第一項目にまず農地を他に転用してはならないと。これを憲法に盛り込んだんです。非常に食料を大事にしています。

 この写真はスイスの農家です。20頭の酪農家で、標高2500mのところです。家族農業ですよね。で、この農家で国から直接支払いがどれだけありますかとお聞きしたら、700万円。ヨーロッパは守家族農家、兼業農家が主体です。実際に、日本は農業所得に占める補助金の割合が38%になっていますが、今年から直接支払いがなくなりますから。私が大臣の時に本当の直接支払いを、個別所得保障をやったときにいままで農家の所得は右肩下がりであったのが、次の年に右肩あがり、直接支払いであがったんです。ヨーロッパはドイツが6〜7割、フランスが6〜9割、イギリスが8〜9割と平均8割の農家収入に対して所得補償をしています。なんでかというと、食の安全、食料自給率の達成なんです。種子も自家採取だし、食の安全と環境保全なんです。だからこそ、ヨーロッパでは農業は産業じゃあないんです。農業は命をつなぐ大事な職業なんです。他の商売、工業とは考え方がまったく違うんです。そういう意味で、あの山国で、スイスで自給率が60%。日本でも本気で我々の食料を大事にして考えていけば、日本は農業も漁業も林業も必ずできるはずなんです。

種子法廃止がTPPによるものであることを東京高裁が認めた

 最後に、実は私はTPPは違憲、国の独立主権を損なうものだからといって、違憲訴訟を3年やってきました。昨年の7月のはじめに判決がおりました。それは、こういう判決でした。「TPP協定はいまだ発行されていない。したがって、TPP協定に基づく法律の施行も、改正もなされてはいない。よって、国民の権利義務には変化がないから却下する」と。そこで、我々原告と弁護団はそれに対して、「種子法が改正され、水道法が改訂されようとしているではないか。これはまさに国民の、農家とかの基本的人権を欠いてきているではないか」と主張したんです。そして、ちょうど1カ月前に東京高裁の判決が終わりました。三人の裁判官の判決がこう買いてある。同じように「TPP協定はいまだ発効されていないし、それに伴う法律の施行もなされていないから却下する」と。ただし、その理由書の中にこう書いてありました。「種子法の廃止がTPP協定が背景にあることは否定できない」と。私は画期的な判決だと思いました。つまり、東京高裁が種子法廃止がTPP協定がよるものだと認めたのであります。

jane-kelsy.jpg 当然、私たちは上告していますが、同時に原告団と弁護団とで先般協議しまして、種子法に基づく裁判をやろうじゃないかということを決めました。そして、来週始めに、桂地区、茨城県のタネ農家60人集まってくれるので皆さんに原告になってもらい。いよいよ種子の違憲訴訟をやる。これまでのように原々種を維持し、これまでのように各都道府県が優良品種を維持できるような当事者の行政訴訟。例えば、今600人ぐらいがきていますが、200部ぐらい委任状。この委任状を送っていただければ、認め印でいいので、是非一緒に原告になっていただければ、さきほど言った静岡大学の前副学長もすぐに僕も原告になると言ってくれました。みんなでがんばって裁判も。そして、同時に県議会でも意見書を出してくれるとか。新潟県は種子条例案を提出し、兵庫でも始まりました。各県でひとつ条例を作って原種原原種を維持しようではないか。そして、同時に私たちはいまこの署名集めをしています。公共の種子を守る、なんらかの法律を作ろうと。これで、国の食料主権を守る法律を作ろうじゃないかと。そういう運動をこれからもみなさんとやっていければと思っています。是非、日本のタネを守る会にも入っていただいて情報を共有しながら、一緒に戦っていければと思っています。どうぞ、よろしくお願いします(拍手)。

【画像】
麻生総理の画像はこのサイトより
(株)ふるさとかわちの画像はこのサイトより
奥原事務次官の画像はこのサイトより
トーマス・カトウ氏の画像はこのサイトより
ジェーン・ケルシー教授の画像はこのサイトより
【参考】
カレイドスコープの水道民営化はこのサイトより


posted by José Mujica at 21:56| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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