2018年03月31日

私たちの子どもたちを病気にせしもの

なぜか増えている病気の子どもたち

 先進国では、公衆衛生に対する意識が高まり、医療制度も充実した。にもかかわらず、子どもたちは慢性的な健康問題を抱えている。両親も医師たちもそれに気づいている(2)

 例えば、米国では、子どもたちの13人に1人が深刻な食品アレルギーを抱えている。それは過去20年で50%も増えた。それだけではない。5人に一人は太りすぎだし、約9%が喘息をかかえ、10人に1人がクローン病にかかっている。男の子の41人に一人、子ども全体では68人に一人が自閉症スペクトル障害の診断を受けている(3)。食品アレルギー、食物敏感症、喘息、湿疹、過敏性腸症候群、クローン病、セリアック病、胃食道逆流症、肥満、自閉症、注意欠陥・多動性障害他の精神障害といったありとあらゆる病気に苦しめられる子どもたちが21世紀になってから激増している(2,3)

子どもたちの病気の原因は工業的食べ物にある

What's Making Our Children Sicks.jpg もちろん、こうした病気の原因は複雑だし多くの要因が絡んでいる(2)。けれども、小児科医、ミシェル・ペロ医師と医学人類学者、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のヴィンカーン・アダムズ教授は、最近上梓した著作『私たちの子どもたちを病気にせしもの(What’s Making Our Children Sick?)』で、いわゆる「近代的」な食べ物、化学肥料や農薬を大量使用し工業的な農業によって生産された食べ物が、こうした治療が難しい多くの慢性病を引き起こしていると主張する(1,2,3)

「炭水化物や砂糖、中身が空っぽの高カロリーの加工食品を食べることがまず問題です...。ですが、問題はそれがメインではありません。より潜在的に危険なのは、農薬、ホルモン、抗生物質まみれの食べものなのです」(3)

 ペロ医師とアダムズ教授は、加工食品、そして、工業的に生産された肉類や乳製品からなる西洋食を食べることによって、数十年前には存在しなかった慢性病に子どもたちが苦しめられるようになったと主張する(3)。高収量や収益をあげるための農業の集約化は、農薬や遺伝子組み換えの利用につながる。それが子どもたちの健康に悪影響を及ぼしている(2)

 有害な農薬を作り出す遺伝子組み換え作物、大量の除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え作物を含めて、農薬技術の発展と慢性疾患の増加との間には相関関係があることを導き出す(3)

 バイテク企業が食料生産において「進歩だ」と考えるものが、子どもたちをそれ以前のどの世代よりも有毒な化学物質に被曝させられることにつながっていると著者たちは指摘する。そして、食べ物に含まれている農薬、ホルモン、抗生物質といった「毒物」を慢性的に摂取し続けたときに、腸にどのような障害が生じ、免疫系がどのようなダメージを受けるのかを探っていく(3)。そして、医薬品や農薬、とりわけ、グリホサートや遺伝子組み換え食品の濫用が危険だと警告し、工業化された食品や近代的な医療システムが子どもたちをいかに傷つけているのかを明らかにしていく。腸マイクロバイオームの障害、ディスバイオシス、リーキガットについての包括的な現在科学の知見からすれば、免疫系機能不全や慢性炎症は、子どもたちがこうした化学資材に度重なって被曝したネガティブな結果なのである(2)

小児科医としての限界から食べものの大切さに気づく

AdamsVincanne-Perro-Michelle.jpg この著作は、食べ物を中心として、小児科医と医学人類学者の二人が協力したユニークな合作である(2,3)

 ペロ医師は、小児科医となり35年になる(3)。現在の慣行医療は、子どもたちの慢性病を治すため、対症療法を強調する(2)。けれども、医学部で学んだ療法では、ペロ医師は子どもたちを救うことができなかった。

「幼児からティーンエイジャーまで、病んでいる子どもたちをずっと目にしてきました。複雑で慢性的な症状の異常発生に直面しても医師たちは、その症状を軽くすることしか手を打てません」

 このいらだちから、患者が飲んだり食べたりしているものと、それが腸の健康にもたらす影響を調べ始めることになる(3)。そして、ホリスティックな代替え医療、ホメオパシーやハーブ療法に関心を向けていく。化学毒物に起因する病気に苦しむ子どもたちを救うため、この15年は、食べ物をベースに、ホメオパシーにも力を入れ、子どもたちの健康のバランスを取り戻すことで大きな成果をあげてきた(2,3)

 ペロ医師は、ヘルシーな食べ物を取るよりも、まず、子どもたちの消化能力を改善することを先行させなければならないことに気づく。まず、機能障害を引き起こしている消化能力を治すことに専念する。そして、「5つのR」アプローチをもって、慢性病を治療していく。取り除く(remove)、置き換える(replace)、再接種する(re-inoculate)、修復する(repair)、そして、バランスを回復する(rebalance)である。

 ペロ博士の戦略は、「食物不耐症」や「アレルギー」をまず取り除き、サプリメント食品を用いることで不足していた栄養分を代替えし、腸に好ましい腸内フローラを再接種し、抗炎症性補助サプリメントを用いて組織損害でも癒し、ホメオパシー、認識行動療法、オステオパシーといった統合医療を用いることでバランスを取り戻していく(2)

医療人類学から食と農業問題に関心を

 ヴィンケーン・アダムズ教授は、医学人類学者として(1,2,3)、社会科学、医療、政治、文化と幅広く、ネパール、チベット、中国、米国をフィールドに研究をしてきた(1)。そして、世界各地の医療制度を従来の西洋医療と比較することから(2)、アジアをはじめとして、それ以外の世界の多くの医療体系には、食べ物が病因にも治療にもなるとの概念が含まれているのに、西洋医療ではそれが極端に抜け落ちていることに気づく(2,3)

 農薬や遺伝子組み替え技術と慢性病との関係詞については、当初、教授は懐疑的だった。けれども、持続可能で、クリーンで、かつ、栄養価が高い食料を生産することの必要性から、現在のフードシステムの科学や政策を調べる中から、教授はそのことを確信していく(2)

 ニューオリンズで起きたハリケーン・カトリーナの復興を研究する中で、教授はこう語る。

「人々の健康に欠かせないベーシックな資源をコントロールする大企業、そして、こうした資源にアクセスできないために苦しめられる最も脆弱な市民とには懸念すべき関係があります」

 教授は、まさに食料生産においても類似したパターンを見出す。

「大企業は、食料を生産するために農民たちが必要としている資材のみならず、こうした資材を支える科学も独占しているのです」(3)

エコ医療の世界を求めて

 ジョイ・ノイマン女史は、書評で「この本の章のいくつかは、時代遅れの研究やウィキペディアやBuzzfeed News等の二次資料からの引用に大きく依存している」と手厳しく批判する。とはいえ、有機農産物や非遺伝子組み換え食品に対して円熟した議論を展開するというすばらしい仕事をしている。健康のためにすでにこうしたアプローチをしている読者には得心がいくものがあろう、好意的に語る(2)

 そして、この書物は、汚染されない健康的な食べ物による医療、すなわち、「エコ医療(ecomedicine)」のパワーも探求している(3)。医師や各家庭で家族の健康に戻すために実施できるシンプルな処方箋も描いている(1)。とはいえ、その内容は比較的薄い。ペロ博士の個人的な実践事例が紹介されている。同博士のアプローチは単純明快で、アレルゲンを取り除き、腸を癒し、ゆっくりと有機、非GMO食品の食生活に転じればよいというものだ。前述したとおり、子どもたちが癒やせるかどうかは、健全な食べ物が手にはいるかどうかにかかっている。健全な食べ物が入手できなければ、代替え医療を実践する医師たちも子どもたちの病気を癒せない。けれども、低所得世帯が有機・非GMO食品をどうすれば手にでき、健康格差を克服できるのかについての情報はほとんど描かれていない(2)

なぜ、この本を書いたのか〜著者、その想いを語る

 最も、GMOサイエンスには、同著についてアダムズ教授とのインタビュー記事が掲載されている。これを読めば、執筆者本人が同考えているのかがより明確になる。

最初はGMO問題に懐疑的だった

Q:この本をなぜ上梓されたのでしょうか?

 ペロ医師と最初に出会って、腸の健康と関連した遺伝子組み換え食品についての実践や理論を聞かされて、魅了されました。医学人類学者としてこれまでしてきた多くの研究が彼女の仕事と重なっていたからです。西洋以外の医療では、食べ物に注意を払い、生態系へと健康を広げるホリスティックなアプローチをとってきましたが、これはそれを調べることもかかわります。

 科学的な政策や医学研究、そして、臨床ケアに、製薬会社がどれほど大きな影響を及ぼしてきたのか。その企業の力が、どれほど直接・間接的に健康を害しているのかを私はずっと教え、書いてきました。民族誌学者として鍛えられましたから、大きな社会構造的問題が人々に及ぼす影響のことを執筆することに人生を捧げてきました。そうはいっても、遺伝子組み換え食品について最初のミシェルの話を最初に耳にしたときには、多くの人たちと同じように懐疑的であったことを認めなければなりません。

 慢性疾患に対して近代医療が無力であって、彼女が臨床的な実践について書いて来たことがよく知られていたとしても、遺伝子組み換え食品の論争の背後にある科学に関しては自信がありませんでした。そこで、彼女にしたがって多くの文献を読み、表面的な論争よりもさらに掘り下げたものを得たのです。そして、これらが実に様々な大問題を産み出しているのかに驚かされました。

 近代医療は食べ物のことを真剣に考えようとしていませんし、多くの慢性病が増え、食の安全性に関していまの規制制度には抜け穴がありますし、遺伝子組み換え食品をめぐる論争ももちろんあります。

 まず思ったのは、ミシェルの統合的な実践についての本を書くことは素晴らしいということでした。彼女の話はとても魅力的で説得力がありました。そして、彼女が、長年、本を書きたいと思っていたことを知ったので共著にした方がいいと決めたのです。このプロジェクトに協力することはすばらしい経験でした(1)

 そこで、遺伝子組み換え食品をとりまく科学的な論争、安全性に関する経験的な証拠、そして、産業型農業、食政策や環境規制について必死に勉強しました。ペロ医師と一緒に、有機農業団体だけでなく、GMOを擁護する非有機食品業界の会議にも参加しました。できるかぎり科学文献も読み、ペロ医師が確認した現象について、医師や科学者に取材しました。

 また、食べ物と健康とのつながりについてのペロ医師の考え方の背後にある人間の物語をよく理解できるよう彼女の臨床診療にも立ちあい、患者とも面談しました。この本にはこうした情報のすべてが詰め込まれています(1)

わかりやすく学問的な質問低くない本が完成

Q:結果として、どのような本ができたのでしょうか。そして、この本はどのような読者を対象としているのでしょうか。

 この本は、現状の点と点とをつなぐオリジナルの資料を提供しています。そして、臨床事例を越えて、こうした食の問題を引き起こしている大きな文脈や状況を描きだしています。健康のために食べ物を基礎とした解決策よりもなぜ、医療が医薬品を探し求めがちになるのかのわけもカバーしています(1)

 ペロ医師とアダムズ教授は、微生物学者、生化学者、遺伝学者、小児専門家と農民と語りあい、有機農業のワークショップに出席し、アグロエコロジーの最前線で働く活動家ともインタビューしていく(3)

 マイクロバイオーム(腸内細菌)、リーキガット、ディスバイオシスといった新たな生医学的な研究が、あたりまえの実践として取り入れられるにはいかに、ほど遠い状況にあるのか。代替え医療の医師たちがいかにこの鋳型を打ち破っているのか。農業企業の科学研究に対する投資が、遺伝子組み換え食品やそれと関連した農薬の潜在的な有害性についての洞察が日の目をみるのをいかに難しくしているのか。そして、私たちは、エコロジー的な健康、未来の医療のことを『エコ医療』と称していますが、それについてどのように考えるのかを書いています。

 ペロ医師と私は、この本を説得力があり、かつ、科学的にも健全で、同時に読みやすく、幅広い市民が手にとれるものにしなければなりませんでした。ペロ医師の臨床事例の研究が、この本をとても読みやすくしています。例えば、アレルギー、腸の問題、行動障害等、多くの人たちがいま苦しめられている健康問題を記述した事例研究から、多くの読者はご自身の体験が患者の物語に反映されていることを目されることでしょう。

 全般的に見て、この本は、学問の質を下げることなく幅広い読者向けに書かれていると思います。アカデミックな同僚たちに、この本がとても魅力的で説得力があるとわかってもらえるだけでなく、彼らがこれを通じてそのことを教え自分たちのネットワークでわかちあってくれることを望みます(1)

遺伝子組み換え企業は科学的真理を歪めている

Q:執筆のために調べものをされている中で驚かされたことがありましたでしょうか

 このプロジェクトにかかわることで驚かされたのは、遺伝子組み換え食品やそれと関連する農薬がなぜ問題なのかを自分自身がどれほど確信するようになったかです。

 かかわり始めた最初の段階では、ペロ医師らが理解していたほど遺伝子組み換え食品が大きな問題だとは正直言って思っていませんでした。ですが、こうしたテクノロジーに対する懸念を払拭するための驚くべき攻撃、そして、慢性病の理論や代替え医療のことを学べば学ぶほど私の確信は深まっていったのです。

 最も驚かされた洞察をあげるとすれば、科学的な信憑性に対する攻撃によって、この分野の研究内容が決められていることです。そして、それが、遺伝子組み換え食品に反対する人たちの中にも浸透していることです。農薬企業は、こうしたテクノロジーに反対する論文を執筆しようとする誰しもの口をとざそうとまずします。ですから、既存の科学だけでは十分に説得力がないと私が疑う証となっています。危険性の批判や疑問さえも、はぐらかすための企業やその企業に雇われたスポークスマンたちの執拗なキャンペーンは衝撃的でさえあります。同時に、私は、遺伝子組み換え食品に反対する側にも、同じような「科学」の批判があることに気づきました。政治ではなく証拠に基づけというわけです。これは魅力的でした(1)

有機以外は毒物〜腸の健康を気にするようになった

Q:この本を執筆する中で色々と学ばれた結果、ご自身の暮らし、食事他で何かが変わったことがあったのでしょうか

 そうですね。有機食品が良いものだろうとはいつも感じていました。ですが、非有機的な食品が潜在的に危険だとは決して思っていませんでした。ですが、いまは確実に有機だけを食べるよう試みています。ぶっちゃけて『これを食べれば死ぬ』とまではいかないとしても、食べ物からの害が、『収容力』や『毒物の負荷』の問題として機能することは明白なんです。ですから、いま、多くの注意を腸の健康に向けるようにしています。

 そして、健康についての見解や、健康が損なわれている社会や少なくとも頑強ではない社会についてのビジョンもシフトしました。私たちの栄養が危うくされているというごく単純な理由のためです。

 建築資材や室内装飾品で使われる化学製品等による毒物から、抗生物質、衛生品、そして、口にする食品まで、健康の危機はあらゆるところに及んでいます。ごく普通の危険な加工食品はもちろん、私たちの食品は、いまどれだけ本当に健康的なのでしょうか。ですから、食べものに含まれている農薬や遺伝子組み換え技術によって農薬化してしまっている食品の毒物について語る必要があるのです。動物実験を基礎にかなりの研究がリスクを示していますが、それが人間にどれだけ安全なのか。本当にほとんどわかっていないのです。

 食べ物はじわじわを腸の健康を蝕みます。そして、皮膚、免疫系、脳へとダメージを与えていきます。ペロ医師が言うように、子どもたちは、この増加する流行病の炭鉱のカナリアなのです。子どもたちが以前にも増して慢性病に苦しんでいるのは、食べ物だけが原因ではありませんが、食べ物はおそらくパズルで最も重要な部分なのです(1)

遺伝子組み換えではなく有機に地球の未来はかかっている

Q:それ以外にも何かおっしゃりたいことは、ございますか

 工業型農業の遺伝子組み換え技術によって、私たちが直面することになっている問題は、ひとり一人がその食事の内容を変えることでは解決できそうにありません。ですが、変化を引き起こせる市場の力を見落してはいけません。こうした問題は多くのレベル起きています。関連する政策、市場制度やそのガバナンス、研究での変化が必要ですし、公衆衛生や現在、実践されている医療の概念も変える必要があります。

 そして、遺伝子組み換え食品の科学者や農薬企業が数十年も言い続けて来たこととはまさに正反対で、地球の生き残りが有機農業での解決策にまさにかかっていることをまず、最優先して考える必要があります。

 健康な体というものがいかに健全なフード環境においてのみ可能なものなのかを人々が考えるうえで、この本がその一助になることを望んでいます。そして、身体、健康、食べ物、土壌、そして、私たちの社会が、エコ医療と呼びものとどう関係してくるのか、いまのパラダイムを再考する必要があるのです(1)

編集後記

 2018年4月1日を迎えた。いつもと同じような春が巡って来て、サクラは満開だし、鶯のさえずりも聞こえる。けれども、もはやこの日本には「種子法」は存在しない。

 印鑰智哉氏は4月1日付けのフェースブックでこう書かれている。

「種子を民間企業に任せるとどうなるか? 世界の事例を見ればそれは自ずと明らかになる。 ブラジルでは種子企業は続々と遺伝子組み換え企業に買収され、遺伝子組み換えでない大豆にしたくても種子が得られない(略)。自由競争というが、実質的な自由な競争はなく、独占によって、極少数の遺伝子組み換え企業の品種しか得られなくなるのが実情。利益を得るのはこれらの企業のみ(略)。

 4月1日から日本でも種子法は廃止され(すでに昨年11月15日に実質的に廃止されている状態だが)、これまでほとんどの米の種籾などを作ってきている都道府県の役割は民間企業にそのノウハウを伝えることだと農水省は言っている。その政策転換が誰を利すかは上記の例で明かだろう。ごく一部の企業だけだ(略)。日本はいつの間にか米国以下の企業天国に変えられてしまっている。日本列島の住民はもっと怒るべきだ。もっともまだ公的種子事業が絶えてしまったわけではない。まだ間に合う。日本においても、都道府県での公的種子事業をどう絶やさずに支え続け、それを支える再び法律をいかに早く作り直すか、避けられない課題だと言えるだろう」(5)

 印鑰智哉氏の言葉を逆手に取り、種子を公共の介入に任せるとどうなるか。

ロシアの連邦議員は、「テロ行為がなされるとき、傷つけられるのはほんの数人だが、GMOは何十人、何百人もの健康を損なう可能性がある」として、「GMO生産業者はテロリストとして処罰されるべきだ」との法案を提出し、議会でGMO規制法を可決してしまった。

 その結果、ロシアではどうなったか。2016年のロシアが誇る海外向け国営放送局RT (ロシア・トゥディ)はこう報告する。

「公式統計によると、ロシアの食品産業におけるGMOのシェア率は過去10年で12%からまさに0.01%まで低下した」

 個人的には、印鑰氏がいうようにまっとうな民間業者と地方政府とのパートナーシップによる公的種子の復活が必要だと思っている。同時に、GMフリーゾンが次の一手だと思っている。ロシアのように国家レベルでは難しいとしても、まずは小さな地方自治体から雨後のタケノコのようにそうした抵抗が起きてくればこの国も変わるのではないかと期待している。

 そして、そうした政策を支えるのは、ひとつは子どもがGMOやグリホサートによって本当に病気になるという科学的知見だろう。印役智哉氏のFacebookでは、日々、膨大な情報がアップデートされているのだが、これをブログというカタチで情報を補完する「印鑰補完計画」を作成することにしたのだが、これが、その第2弾。まさに、GMOで子どもたちが病気になるという話である。

 印鑰先生は、「これまで有機農業は効用ばかりを説いて来たがそれでは差別化が図れない。安全ならばどこもみなそれを口にしている。それ以上に、危険性をもっと訴える必要があるのではないか」と主張されていた。実際、氏の2月7日のフェースブックには『何が私たちの子どもたちを病気にしている?(What's Making Our Children SICK?)』を書いた、カリフォルニア大学の医療人類学のアダムズ教授のインタビュー記事がでている(4)。そこで、今回はその内容を紹介したいくつかの記事をまとめてみた。

 第二は、最近、明らかになってきた「脳神経科学」と「腸内細菌」による科学的知見だろう。「脳と腸」といっても、科学的関心がない人にはいまひとつインパクトが弱い。けれども、「教育と食育」あるいは「成績アップと食べ物」とのネーミングであれば、受験生を抱えた保護者はもちろん、誰もが着目するのではないだろうか。すでに、書店の健康や美容コナーには「糖質制限本」や「雑誌」が山と積まれている。牧田善二氏の『医者が教える食事術〜最強の教科書』(2017)ダイヤモンド社も、ベストセラーとなっている。となれば、『医者が教える最高の受験術〜くるくるぱーになるGMOを避け有機野菜を食べて成績アップ』も可能なのではあるまいか。
   (2018年4月1日投稿)

【画像】
紹介書の画像はこのサイトより
ミシェル・ペロ(Michelle Perro)博士とヴィンカーン・アダムス(Vincanne Adams)教授の画像はこのサイトより

【用語】
過敏性腸症候群(IBS=Irritable Bowel Syndrome)
胃食道逆流症(GERD=gastroesophageal reflux disease)
注意欠陥・多動性障害(ADHD attention-deficit/hyperactivity disorder)
食物敏感症(food sensitivities)
悪性細菌症:ディスバイオシス(Dysbiosis):何らかの原因によって腸内細菌の環境が低下または悪化している状態。細菌との共存共栄、シンバイオシス(Synbiosis)という言葉を造った、ノーベル賞を受賞した医学者、イリヤ・イリイチ・メチニコフ(Ilya Ilyich Mechnikov, 1845〜1916年)の造語。
食物不耐症(food intolerances) :非アレルギー性食物過敏症とも言われ、特定の食べ物に対して免疫力が落ちることによって症状が出る病気。食べ物や飲み物に入ったアレルゲン(抗体)を身体が「侵入者」と認識して、排除しようと即座に反応するのが、「食物アレルギー」である。一方、食物不耐症は時間をかけてじわじわと症状が現れる。生命にかかわる症状を引きおこすことはないが、原因を特定するのが困難である。
認識行動療法(cognitive behavioral therapy)
オステオパシー(Osteopathy): ギリシア語のOsteon(骨)とPathos(治療)の2つの言葉を語源とし、1874年に米国の在ミズーリ州の医師、アンドリュー・テイラー・スティル(Andrew Taylor Still)が創設した療法。日本には、大正時代にカイロプラクティック等とともに導入され、指圧や整体等に大きな影響を与えた

【文献】
(1) Healthy Food, Healthy Children, Feb7, 2018.
(2) Joy Nauman, Book Review: What’s Making Our Children Sick?, Mar7, 2018.
(3) Julie Wilson, Can Food-Focused Medicine Cure Food-Related Disease?, Mar21, 2018.
(4)2018年2月7日:印鑰智哉氏のFacebook
(5)2018年4月1日:印鑰智哉氏のFacebook


posted by José Mujica at 21:15| Comment(0) | GMO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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