2018年05月13日

第3弾・グリホサートとGMOはなぜ危険なのか?

カーソンの警告によって使用が禁止されたDDT

 DDTは第二次世界大戦後期から使用され始めた。マラリアや発疹チフスといった病気を抑制するため散布された。世界大戦が終わるとDDTは農薬として使用され始める。そして、この化学製品を製造した会社のひとつがモンサントだった。

Rachel-Carson.jpg 1962年、米国の生物学者レイチェル・カーソンは画期的な書物『沈黙の春』を上梓し、DDTの破壊的な環境に対する影響を警告する。そして、DDTが人の健康にも有害となるであろうことを示唆した。

 カーソンが疑問視したのは、生態系や人の健康に対する影響がよくわかっていない段階で大量にこの化学製品を使うことの論理のおかしさだった。最終的にはカーソンの著作によって人々が抗議をし始めることによって米国では1972年にDDTの農業利用が禁じられることにつながる(3)

DDTはアルツハイマーや糖尿病を引き起こす

 時間を40年を早送してみると、今、私たちはDDTに被曝した影響を目にしている。

 いま、アルツハイマーには、約540万人の米国人がかかり、6番目の主な死因となっているが、ひとつの衝撃的な予測によれば、20年後には米国の成人の25%がアルツハイマー病にかかるという。それは、現在の肥満や糖尿病の罹患率に匹敵する。
Jason-Richardson.jpg そして、このアルツハイマー病とDDTとの関連性をつなげる研究がいま出されている。例えば、ラトガース大学のジェイソン・リチャードソン准教授は、アルツハイマー病の患者では、同年齢の健常者と比較し、血液中のDDTの代謝物DDEの濃度が4倍も高いことを見出し、こう語っている。

「DDEは、何年にもわたって体内に残留します。DDEの濃度は基本的にそれまでの人生でDDTに被曝してきた履歴なのです...。いま、80%以上の人の血液からかなりの濃度のDDEが検出されます。それが現実です。それは過去の汚染の遺産、そして、DDTを使用している国からもたらされる食べ物からもたらされているのです」(3)

 興味深いことに、いくつかの研究からは、DDTやDDEのレベルの増加と糖尿病とが関連づけられている。そして、DDTへの被曝が、数十年後に、アルツハイマーや糖尿病といった悲惨な病気の一因となるであろうことは、グリホサートも同じ結果をもたらすかもしれないという意味で世界的な警鐘とならなければならない(3)

グリホサートはDDTとよりも危険

 グリホサートは、実際のところ様々な点で、DDTに類似する。DDTは、生殖の問題や奇形出生を引き起こすことが知られているが、それと同じく、グリホサートも不妊症の問題や先天性欠損症の要因が指摘されている。そのうえ、研究からはさらに以下が示されている。
  • 適当な植物の機能や高品質の養分のため土壌で欠かせない有益な微生物の多くを殺す
  • 腸内細菌の機能やライフサイクルに極端な混乱を引き起こす。腸内で病原体の成長を促進しつつ、善玉細菌には影響を及ぼす
  • キレート作用によって決定的な微量ミネラルを植物が利用できないようにし、養分不足の食べ物につながる
  • 酵素を妨げ、それが、有機物質の酸化を引き起こす。これは、哺乳類へのグリホサートの毒性の見落された構成要素であるように見える
  • 異質な化学合成物の毒性を除くこうした酵素の能力を制限することによって、こうした化学製品や環境でさらされる毒素に対する影響を高める
  • 土壌中の病原性病菌の激増を促進
  • 環境で見出せるごく微量濃度でもミジンコに有毒
  • 牛の致死性ボツリヌス菌中毒の原因
  • 農業散布で使われるより450倍も低い濃度に希釈してもヒトのDNAに有毒
 こうした結果は、グリホサートの安全性に深刻な疑いを投げかける(3)

 グリホサート、ラウンドアップは、EUでは2002年まで承認されなかった。米国では1974年に認可され、それ以降、幅広く使われてきた。そして、DDTと同じく、グリホサートの被曝と自閉症、食物アレルギー、消化器障害の急増と関連づける研究がいま目に出来る。DDTと違って、その影響ははるかに目にでき、かつ、よりエビデンスがあるように見える。

 ジョン・マーコーラ医師は「グリホサートの毒性の完全な影響が明白となり、今後、数十年で痛みある世界に直面することになるであろうと信じている。自分の見解からすれば、グリホサートの無謀な使用を止めるには一刻の時間の猶予もならない」と語っている(3)

DDTよりも悪性毒物への過小評価

 グリホサートは魚や鳥に対して有毒で、生態系バランスを維持している益虫や土壌微生物も殺す。実験室での研究からは、標準的な毒物試験のすべてにおいてグリホサートを含む製品の副作用が確認されている。例えば、1000mg/kg(1000ppm)のグリホサートをラットに与えるとその致死率は50%となり、胎児の57%以上で骨格の変形が観察された(2)

 遺伝子組み換え食品の毒性に関する専門家、ダン・ヒューバー博士は、モンサントの除草剤ラウンドアップの活性成分、グリホサートはDDTよりもはるかに悪いと指摘する。

 奇妙に聞こえるが、もし、二つの毒物のどちらかを選択をしなければならないとしたときに、どちらを使うべきかと問いかけられれば、ヒューバー博士は「グリホサートよりもDDTを選びたい」と語る。

Don-Huber04.jpg「こうした資材は有益に使うことができます。私は、反化学の立場にはありません。ですが、私どもはいささかの常識をもってそれらを使わなければなりません。グリホサートは私どもがこれまでの人類史において手にした最も悪用された化学製品です。それはもはや取り返しがつかないことは意味しません… 。ですが、それは起きていることを認め、懸念し、私たちが変わる必要があることを意味しています」

 ヒューバー博士は以前のインタビューでこう語った。

 遺伝子組換え作物は、雑草と同じようには枯れない。高濃度のラウンドアップに対して耐性を持つようにデザインされている。このため慣行作物に比べてはるかにグリホサートで汚染されている。遺伝子組換え食品の危険性の大部分は、このグリホサート汚染による。しかも、それはありとあらゆる植物細胞に取り込まれてしまっているため、洗い流すことができない(3)

自閉症の増加は、グリホサートの使用量と完全にマッチ

glyphosate.jpg 元米海軍の科学者、ナンシー・スワンソン博士はグリホサートの使用と自閉症を含めた様々な病気と状況に関する統計を細心に集めた。その結果を示したのが上図である。スワンソン博士は言う。

「グリホサートの散布量の増加、食物中のGMOの増加と臓器の病気の発生率とには相関関係があることをデータは示します。ますます多くの研究が、GMO中の残留物の認可濃度よりもはるかに低い摂取によって発癌や内分泌の混乱の影響を明らかにしています」

Nancy-Swanson.jpg「内分泌を混乱させるグリホサートの特性は、生殖の問題につながります。不妊症、流産、先天性欠損症、そして、性発達です。胎児、幼児、そして、子どもたちは、成長ホルモンの変化を絶えず経験しているために、とりわけ影響されやすいのです。最適な成長や発育のためには、子どもたちのホルモンシステムがきちんと機能していることが決定的です。

 内分泌を混乱させる特性は、神経障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害、自閉症、痴呆、アルツハイマー病、精神分裂症、双極性障害にもつながります。これらに最も感受性のあるのは、子どもたちや高齢者です」(3)

グリホサートよりもさらに危険なラウンドアップ

 普通、グリホサートを散布すると植物が成長するうえで欠くことができないEPSPS酵素が機能することができなくなるため、植物はタンパク質を製造できなくなるためにゆっくりと黄ばんで枯れる。これがグリホサートが除草剤として機能する理由である。すなわち、ラウンドアップやそれ以外のグリホサート・ベースの除草剤を植物に散布すればそれは枯れる。けれども、モンサントはラウンドアップだけでなく、遺伝子組換え作物「ラウンドアップレディ作物」も開発している。ラウンドアップ・レディ作物は、EPSPS酵素と同機能を持ちながらも、グリホサートに影響されない酵素を作り出す。このため、作物にダメージを与えることなく、農民たちは圃場に直接ラウンドアップ除草剤を散布できる。このため、ラウンドアップ・レディ作物の人気は高まり、このラウンドアップ・レディ作物が導入されて以降、ラウンドアップの使用量は劇増してきた。そして、何百万kgものラウンドアップが農地だけでなく、庭や芝生に散布されている(2)

Nora-benachour.jpg このようにラウンドアップ・レディ作物や飼料は米国では非常に一般的となっているが、それにはラウンドアップの残留物が含まれていることが知られている。そして、こうした残留物が実際に健康に有毒であることを2009年1月に発表されたフランスのカーン大学のジル=エリック・セラリーニ教授(1960年〜)とノラ・べナシェラ教授(現在、カナダのサント・アンヌ大学)らの研究が初めて明らかにした。極低濃度であっても、残留物が細胞にダメージを与え殺すことがありえることが明らかになったのである。

 例えば、ヒト細胞に対して最高10万倍以上も希釈したラウンドアップでテストしたときでさえ細胞は24時間以内に死んだ。細胞の呼吸が抑制され、細胞膜とDNAへのダメージも見出された。

 さらに、ラウンドアップ補助剤として用いられる成分の混合物がグリホサートの作用を強めることも発見される。そして、その代謝物質の少なくともひとつはさらに有毒なものとなっていた。

「現在は隠蔽されていたり科学的に詳細な研究からは隠されている望ましくはない影響をこれはみいだしています…。そして、この研究からはラウンドアップの補助剤が不活性ではないことが明らかに確認できます。ラウンドアップが散布された作物に由来する食べ物や飼料の残中物によって細胞がダメージを受けたり死ぬことさえ予想されるのです」

 ラウンドアップの成分はグリホサートそのものよりも毒性があるし、その二つの組み合わせはさらに毒性が高い(2)

モンサントのペテン宣伝に仏国政府は有罪判決

 ダン・ヒューバー博士が指摘するように、害虫を殺すというメリット以上にDDTやグリフォセートが何を引き起こすのかの基礎的な理解がないままに、それは使われている。しかも、それは、ただモンサントのようなごく少数の大企業が儲けるためだけになされている(3)

 グリホサートの毒性に対する市民の認識はまだ限られている。そして、一般市民のラウンドアップの危険性に対する認識が不足している背景には、モンサントがラウンドアップをマーケッティングするうえで「環境にやさしい」「生物分解可能」としてきた事実がかなり寄与したことは疑う余地がない(3)。とはいえ、こうした発見からは、このモンサントの主張がどれほどいかがわしいものであったのかがわかる。実際のところ、ラウンドアップは「生物分解可能」でもなければ、安全でもなく、どのようなカタチであれ人間や環境によくはない(2)

 さらに、ラウンド・アップの主成分、グリホサートに対してはすでにEUが「環境に対して危険である」とみなしている。この根拠に基づいて、フランスの環境グループは2001年に訴訟を行った。その結果、2007年にはリヨン刑事裁判所(Lyon criminal court)、2008年にはリヨン高等裁判所(Lyon court of appeal)がモンサントに対して二度、有罪判決(convictions)を下した。そして、2009年の最終判決において、フランスの最高裁(France's Supreme Court)は、以前の2度の判決を支持し、「生物分解可能である」「土壌をきれいなままに保つ」という虚偽の広告を行い、安全性に対して真実を語らなかったとして、有罪判決を下し(1,2)、モンサント社に対して1万5000ユーロの罰金を科している(2009年10月9日のレート132円で290万円)。この判決に対してモンサントは一切コメントしていない(1)

予防は治療よりもはるかに容易でより効果的

 アルツハイマー病が、貧しいライフスタイルやそうした生活に伴う中毒によって引き起こされる病気であることを理解することが大切だ。そして、栄養的な見地からだけでなく、化学的な被曝の見地からも、最も重要な要因は食生活だと信じている。そして、この警告はアルツハイマーの防止にまさに適用できるだけではない。広範囲な健康被害にも向けることができる。研究者たちは、いま主な慢性病の要因がグリホサートの濫用にあると考えている。

 では、どうすればいいのか。まず、加工食品を避けることが基礎中の基礎となる。トウモロコシ、ダイズ、シュガービーツ他、ほとんどの加工食品には遺伝子組み換え成分が含まれているからである。

 そして、慢性疾患予防のために私がリストのまさにトップにあげたいことは、野菜を取り、炭水化物を健康によい脂肪や適切な高品質のタンパク質に置き換えることだ。

 今後、効率性と科学の進歩の名において数十年で直面するであろう健康の悲劇を考えれば本当に仰天したくなる。こうした運命を避けて、あなたの能力の範囲でそれから子どもたちを守ることは難しい。けれども、それは不可能ではない。

 まず、あなたは人生において食べ物を最優先する必要がある。有機農業の発展を支援する必要がある。有機農産物を買う以外に、さらに1歩進んで、自分で自給することもできる。そして、遺伝子組み換え食品には、知られている以外にもまだ未知の健康リスクをもたらす傾向が最も高いため、その表示に向けて断固たる態度をお取りになられることをお薦めしたい(3)

編集後記

Joseph-MercolaS.jpg マーコーラー医師は、モンサントに対して「米国の健康や食品の安全性の未来の上に多い被さる暗い雲である」と指摘する。

 モンサントは、これまでに知られる最も有害な物質の二つ、ポリ塩化ビフェニール(PCB) オレンジ剤として知られるダイオキシンを作り出して来た。そして、さらに次のような世界を実現することを目指していると述べる。
  •  潜在的に危険な遺伝子組換え種子の新たな時代へ世界を導く
  •  自ら開発したGMO種子だけでなく、膨大な数の作物種子、生物の特許権を取得する
  •  育世代も農民たちが実践してきた翌年に播種するための種子保存を認めないようにする
  •  さらに、自家採取とする疑いがある農民を攻撃的に探し出し告訴する
  •  また、農地のうえに飛んでくるモンサントの遺伝子組み換え花粉や種子を防げなかった農民を特許侵害として告訴する(2)
 まことに恐ろしい。まさに種子法廃止で日本で進んでいることのように思える。日本ではラウンドアップはごく普通にホームセンターで販売されている。そして、日本語のホームページを見るとマーコーラー医師が指摘したとおり「環境にやさしい」「土壌で分解可能」とうたわれている。けれども、明らかにこれはペテンであろう。BBCがフランス最高裁が罰したと報じている以上、この情報は「2ちゃんねる」の陰謀説とは格段にエビデンスが違うと思いたい。ということで、せめてフランスのように日本でも裁判所や消費者庁の国民生活センターが「詐欺」として罰してくれればいいのだが、それが日本では出来ず、2016年7月12日には日本国中央政府の内閣府食品安全委員会が「グリホサートにおける発ガン性や遺伝毒性はない」と太鼓判を押している。以上は、せめて、なるべく買わないように消費量を減らすしかない。

BJS.jpg そう、「正義なんかこの世にはありはしない」とまずニヒリズムに立脚するしかない。とはいえ、虫の抵抗でしかないのだが、この情報を知られた方は、是非、原文をチェックし、ことの真偽をご自分で確認されたうえで拡散していただけるとありがたい。
(2018年5月13日投稿)
【人名】
レイチェル・カーソン(Rachel Carson)女史の画像はこのサイトより
ジェイソン・リチャードソン(Jason Richardson)准教授の画像はこのサイトより
ダン・ヒューバー名誉教授の画像はこのサイトより
ナンシー・スワンソン(Nancy Swanson)博士の画像はこのサイトより
ジル=エリック・セラリーニ(Gilles-Eric Seralini)教授
ノラ・ベナシェラ(Nora Benachoura)教授の画像はこのサイトより
ジョセフ・マーコーラ(Joseph Mercola)医師の画像はこのサイトより
間黒夫氏の画像はこのサイトより

【用語】
DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン= Dichloro-diphenyl-trichloroethane)
DDE(ジクロロジフェニルジクロロエチレン=Dichloro-diphenyl-dichloro-ethylene):DDTの分解物のDDEは非常に安定しており、分解しにくく環境中に長く留まり影響を与える可能性があり、また食物連鎖を通じて生体濃縮されることがわかっている。
マラリア(Malaria)
発疹チフス(Typhus)
学習障害(LD=learning disabilities)
注意欠陥・多動性障害(ADHD =attention deficit hyperactive disorder)
痴呆(dementia)
統合失調症(schizophrenia)
双極性障害(bipolar disorder)
EPSPS酵素。シキミ酸経路中の酵素の一つ。アミノ酸を作り出す。5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素
サント・アンヌ大学(Université Sainte-Anne)
細胞膜(membranes)
ラウンドアップ補助剤(Roundup adjuvants)
オレンジ剤(Agent Orange)

【引用文献】
(1) Monsanto guilty in 'false ad' row, BBC, 15Oct, 2009.
(2) Joseph Mercola, France Finds Monsanto Guilty of Lying, , Mercola, Nov 21, 2009.
(3) Joseph Mercola, Glyphosate May Be Worse Than DDT, Which Has Now Been Linked to Alzheimer’s Disease, Decades After Exposure, Mercola, Feb 13, 2014.


posted by José Mujica at 11:40| Comment(0) | GMO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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