2018年06月25日

種子法廃止と種苗法改正の問題点について

はじめに

2018062402.jpg 埼玉県比企郡小川町の霜里集落で「種子法廃止と種苗法改正の問題点について」と題して、山田正彦氏の講演が行われた。ご存知のとおり、小川町は日本の有機農業のメッカである。小川町の有機農業を推進されてきた金子美登氏の挨拶の後、水田に囲まれた下里一区の農村センターで山田正彦元農水大臣の講演は始まった。まったくのド田舎の公民館といえどもさすが小川町。広い会場は立ち見も出るほど満席となった。以前、このブログで紹介してきた講演内容と重なる部分も多いが、新たなトピックをメインにご紹介したい。

ご挨拶

 みなさんこんにちは。長崎県の五島列島から来ました山田です。僕は29歳の時に400頭牛を飼っていた。当然、赤字でした。豚も飼育して屋を6店舗。最後は県庁内で牛丼屋もやって失敗して4億の借金をしました。自分が未熟だったのに「農政が間違っているのでないか」と思い、選挙に出て、4回目で通って農水大臣をさせてもらった。そして、ヨーロッパの農業や米国の農業を勉強して来ました。今日は、私の思っていることを話してみたいと思います。よろしくお願いします。

TPPがいよいよ結ばれる

 TPP11。先週の参議院で関連法案が通ると通過する。最後まで座り込みをやっていた。閉会になれば成立しなかったのだが、会期が延長されることになったため、来週の火曜日には10本、関連する6本の法案が通ってしまいそうである。そして、来週の水曜日にこれが決まってしまう。こういう状況になってきた。種子法廃止もさることながら、沿岸の漁民から漁業権も取りあげられて外国の大企業への公開入札となる。市場法も廃止される。水道法も改正される。TPPがベースとなった改正が目白押しになっている。

TPPの違憲訴訟で種子法廃止はTPPと高裁が認めた

 2016年に米国との間で交わした文書によって「日本政府はモンサントやカーギルとかデュポンとかの投資家の要望を聞いて、各省庁に検討させ、必要なものは規制改革会議に付託し、同規制改革会議の提言に従う」となっている。竹中平蔵とかオリックスの宮内義彦といった人々がメンバーである。そして、種子法廃止と農業競争力強化支援法を決めた。本来、これほどの重要な法案の廃止は、農政審議会にかけたりパプコメをするのが筋なのに、それを全くやらなかった。

 TPP交渉差止・違憲確認等請求控訴をしてきたのだが、この間、一審と二審がおりた。最初はもちろん、却下された。現実にTPPが発効していないからである。けれども、例えば、米韓FTAを結ぶことによって韓国は200本の法律を変えることを強いられた。

まず、1月31日に判決が言い渡しで却下された。日本でも現実に種子法が改正されたではないか。例えば、昨日の「たね食とひと@フォーラム」が2018年4〜6月に行ったアンケート調査によっても、種子生産ほ場の指定は2017年は46、東京都を除く98%の道府県が実施していたのに、2018年に実施すると回答したのは、25、53%の道府県しかないのである(注)。このように、現実にすでに及ぼしているではないかと戦った。その判決が今年の1月31日に降りたのだが、東京高等裁判所の杉原則彦さんはTPPは発行していないから却下する。しかしながら、「種子法廃止については、その背景事情の一つにTPP協定に関する動向があったことは否定できない」と述べたのである。

(注)実施しないと答えたのは、以下の9(栃木県、群馬県、石川県、三重県、和歌山県、滋賀県、佐賀県、愛知県、東京都)

 以下、山田元大臣は種子法の現状について説明していく。

種子の値段が公共よりも高い

 茨城県だけで2000t、3000tは種子を作り、その種取り農家だけで約600人いる。そして、国の種子制度があったから、茨城県では500円/kgであった。石川県が最も安く350円/kgであった。けれども、民間の三井化学アグロが開発した「みつひかり」は3000円もする。トヨタ通商の「しきゆたか」もそうである。なお、みつひかりは牛丼屋で使われている。低アミロースで冷えても美味しい。ミルキークイーンとインディカを掛け合わせている。コシヒカリ系である。PRによればコシヒカリと味は同じで120〜140%収量が多いとされている。実際に生産している農家に聞いてみると収量は同じ。ただし、3、4年ほど経つと化学肥料を3〜4割を増やさなければならなくなる。また「つくばSD」は住友アグロソリューションズ、住友化学の100%の子会社である。「とねのめぐみ」は日本モンサントである。北つくばで「つくばSD」も100haほど作られたというがうまくいかなかったという。

農家は種子を握られることで種子企業の奴隷にされる

 つくばSDで気になったのが価格の決め方である。価格は住友化学と生産者とが協議して決めることになっているのだが、いい米かどうかの質は住友化学が決めることとされている。

 5、6年前に「みつひかり」を生産した方に聞いたことがあるのだが、最初60kg 12000円が3年目には9000円になったので終わりにしたと。つまり、農家が自分では値段を決められない。また、台風とか洪水等の事故災害時にはすべて生産者が負担することになっている。例えば、セブンイレブンのおにぎりは住友化学の「つくばSD」なのだが、洪水があったとすると当然、セブンイレブンは住友化学に損害賠償を求める。そして、その賠償は生産者が負わなければならないのである。

 そして、これらはF1なので毎年買わなければならない。野菜も今9割がF1種子になってしまっている。そこで、コメもいずれF1、遺伝子組み換えになっていくのではないだろうか。

日本のコメは外資に狙われている?

 シンジェンタも最近日本シンジェンタを作ったが、種子法が廃止されることは10年前から検討されて来た。種子法廃止の2週間後に通ったのは農協潰しの法案、競争力強化支援法である。これまでずっと「肥料等の銘柄が多いからコストダウンが図れない」と小泉進次郎氏が言ってきたことは、あまり気にかけていなかったのだが、ここで、種子の銘柄が多いのを集約するとなっている。要するにここだったのではないかと思うのである。また、フィリピンにはロックフェラー財団が作った稲作研究所があるのだが、フィリピンの農家もロイヤリティを支払わないとコメが作れなくなっている。種子法廃止の際に付帯決議を参議院で条件として付けた。これによって数年は大丈夫かと思っていたのだが、昨年の11月15日に事務次官が通達を出した。

飼料米から遺伝子組換えは狙われている?

 これによって種子が失われたらどうなるのか。実は栃木の稲葉さんも栃木県から買うことができたから有機で作れたが、栃木県がやらなくなったらもう稲の種子は作れないという。また、石川県の橋爪さんによれば11俵取らないと補助金を出さないという北陸農政局が飼料米の説明をしたという。

 本来、農村地帯の畜産の飼料は稲なのである。僕のところでもお袋が米のとぎ汁を牛に飲ませていた。豚もそうだ。そして、人間が米を食べなくなって来た。当時、5000億円をかけて遺伝子組み換え飼料を輸入していた。けれども、飼料を水田で作れば100万㏊の減反はいらない。それで僕が始めた。さて、シンク能改変イネは、ゲノム改変によって花芽が際限なくできる。そこで、多量の米ができる。そこで、次には遺伝子組み換え飼料米から始めるのではないか。そしてイネの花粉は1.5km.四方飛ぶために汚染地域になってしまう。日本全体がそうなる可能性がある。

外国で危険視されているラウンドアップが日本では撒き放題

 そして、ジャガイモや野菜でもGMOがどんどん開発されている。筑波大学と理化学研究所がミラクリントマトを開発した。これで1800億円の利益を見込んでいる。すっぱいのを甘いのに変えるという。この栽培をつくばの遺伝子特区でやるかもしれない。日本は印鑰さんの資料をみればわかるように日本は、遺伝子組換え大国である。134種類が認められている。

 そして、昨年の暮れにはラウンドアップの安全性の暫定基準が一気にものによっては400倍にまであげられた。いま、日産化学が盛んに宣伝しているのは国産大豆で乾燥の前にラウンドアップを散布することだ。

年内にも遺伝子組換え農産物でないは表示できなくなる

 けれども、今、なぜ日本で遺伝子組換えの栽培が広まらないかというと消費者が反対しているからだ。5%以上の混入があったらそれは遺伝子組換えではないと表示できない。けれども、違憲訴訟弁護団で調べたら、これは法律ではなかった。だから、安倍総理の一存で止められる。

 例えば、いま消費者庁が審議会を開いている。2016年にニュージランドでTPP署名したときに日米で作業分解を作ることを決めたが、それが始まっている。

 さて、日本では食用油はほとんどが遺伝子組換え大豆がその原材料となっている。醤油もそうである。それは化学的に検出できる。けれども、その必要はないとしてきた。けれども、意外なことに今回、初めて認めた。ただし、それが酷い。コンタミが認められたら一切遺伝子組換えでないと表示できないというものだ。消費者庁は先日、400人もの関係業者を集めて説明会を行い、年内に「0以下でないと表示できなくする。検出したら直ちに指示して公表します」と言っていたため、どの業者もビビっていた。

 当然である。5%以下を認めてきたのは、輸送の関係で汚染物が混ざることが避けられないからだ。だから、EUでも0.5%まで認めているのである。また、10日前にはカナダで未承認の遺伝子組み換え小麦が発見された。フランケンフィッシュもカナダでは生産されている。これは、カマボコとして入ってくる可能性がある。養殖の現場では、必ず逃げる。こうしたものが生態系に入り込んだら大変である。

2018062401.jpg種苗法の改正で自家採種も禁止に?

 さて、種子法の廃止と並んで種苗法の改正も問題である。というか、こちらが本命だったのではないか。農林省の官僚は「山田さん種苗法で守りますから大丈夫です」と言っていた。だから、私も気づかなかった。けれども、千葉県で有機栽培をしている林さんが「自家採種できなくなる恐れがある」と教えてくれた。種苗法第3項では、前項の規定は、農水水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は適用しないとなっている。つまり、農家の自家採種を認めてきた。けれども、5月15日の農業新聞が自家増殖は原則禁止になると報じた。最初は24程度であったのが357種類になっている。

国際条約では農民の採種県は守られている

 けれども、小農民と農民の種子の権利は、日本も批准した「食料農業植物遺伝資源条約」で守られている。

d)自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利

3 国は、種子の権利を尊重、保護、実現し、国内法において認めなければならない。

5 国は、小農民が自らの種子、(中略)種について決定する権利を認めなければならない。

 政府はUPOV条約で育主権者の権利が認められているから、ヨーロッパ並みに原則自家採種を禁止すると述べているのだが、同条約では合理的な範囲で育種権者の権利を認めている。

欧米ではラウンドアップが規制され有機が伸びていく

 ヨーロッパでもフランスやドイツでもラウンドアップの使用は3年後に廃止することが決まっている。もともとラウンドアップは洗浄液として使われた毒薬で、アミノ酸のシキミ酸経路が壊れてしまう。人間にはシキミ酸経路がないので害がないと言われているが腸内には植物性の腸内細菌もある。そうした善玉菌が殺される。そこで、腸と脳はつながっているので自閉症の子どもができたりする。そこで、米国では小児学会や環境医療学会も散布を中止せよと言われている。そこで、米国では遺伝子組換え農産物の栽培が頭打ちとなり有機栽培が10%で伸びている。

 先日、韓国の弁護士が来日され、日本の種子の話をしていたら、韓国の文在寅(ムン・ジェイン,1953年~)大統領は、国の試験場でGMOの研究を全部止めさせたとはっきり言っていた。

食料主権を盛り込もう

 今、国会で種子法廃止の再審議をしている。廃案になるのかなと思ったら自民党も一緒になって審議をしている。そして、各市町村から「公共の種子を守れ」という請願があがって来ている。

 スイスでは昨年の10月に食料主権を憲法に盛り込んだ。韓国も食料主権を考えている。僕が大臣のときには農業土木の予算を減らして各省庁の無駄な予算をカットして直接所得補償を実現させた。当時、農水省の予算は防衛省と同じだった。いま、防衛省は農水省の6倍だ。北朝鮮ミサイルが大変だとして2機迎撃を買い1兆2000億円だ。

 直接個別補償は米国ではコメは12000円だが、なんでそんなに安く売れるのか。実は国の助成金、農業補助金だ。米国も4割はそれを出している。スイスは100%所得保障。こうして自給率を守っている。

 ロシアもGMフリーで自給しGMフリー農産物を輸出すると言い始めている。中国もGMOを見直しし始めている。中国はやるとなれば一気に始める。だから、僕は、種子法と種苗法をあわせた食料安全保障、食料主権をやりたい。そして、有機農産物を輸出するくらいになるべきなんだ。農水省も本当は種子法廃止なんかやりたくないのである。

質疑応答

金子友子 マハティールは92歳で再当選した。山田さんにも頑張ってもらいましょう(拍手)。

山田正彦 マハティールは最交渉を求めている。メキシコも大統領選挙があるが断固反TPPである。早く安部総理を辞めさせるべきだ。再交渉がダメであっても離脱はできる。国の自主権を失ってしまってはいけない。経産省の試算によれば自給率がみるみるうちに15%にまで下がるという。韓国でもFTAによって農家の自給率が3割も落ちた。

会場質問 TPPは多国間交渉である。離脱すると二国間交渉になる。GMOはなぜ個別交渉でされているのか。

山田正彦 個別交渉は2013年に安倍が始めた。それまでは断固ブレないが自民党のスローガンだったのに、日米並行協議を結ばされた。私は年次要求が来ても受けないようにして来た。けれども、今は日本政府は経産省が握ってしまっている。TPP11ではさらに米国からそれ以上の要求がされていく。この国会でTPP11を成立させた後、7月から新たなFTAを始める。例えば、経産省からすれば自動車の25%の関税は避けたい。トヨタ1社が24兆円あるのに対して農林漁業は全部あわせても8兆円。だから、遺伝子組換えだろうが全部を買いますというのが経産省の本音だ。本当はTPPはやっていけないのに安倍総理は売国奴ではないか。種苗法も違反したら10年以下の懲役。故意犯でなくても逮捕できる。1000万円の罰金である。これは本当に異常なことだ。

会場質問 種子法廃止の動きと関連して外国人労働者への規制緩和もされている。パソナ等の動きを合わせて考えると、外国人労働者によるモンサント型農業を国内で始めようとしているのではないか。

山田正彦 なんでそう思うのですか。何か誰かの主張をお読みになったのですか。

会場質問 いや、自分なりに考えたらそうなったのですが。

山田正彦 実に鋭いですね。おそらく、その通りでしょう。今回の働き方法案も多国籍企業のためにやっている。7月からは日欧交渉が始まる。そして、フランスのベリリア等の水会社が入ってくる。松山市ではすでに民営化がされている。水道化民営化は面白く施設維持は自治体の義務。運営権だけ、つまり、料金徴収権だけは外国企業に渡すもの。バックマージンがどれだけ政治家の懐に入ってくるのかはわからないが、私には国を売っているとしか思えない。

会場質問 種苗法の改正の背景には、例えば、とちおとめが韓国に持っていかれたということがあると思うのだが。

山田正彦 種苗法は国内法なので海外流出を食い止めるための罰則はない。種苗法を変えたからといって海外流出をくい止めることはできない。むしろ、出願登録してそれに反したとして輸入を止めることしかできない。それを「育種権者を保護する」と言っているのは騙しているのである。

会場意見 農林61号とか昔の麦は昭和30年以前のもので育種権が過ぎ去っている。そうしてものは奪われる恐れがある。

会場意見 地理的表示されているものはどうなるのか。輸出登録されているものもあるが。

山田正彦 UPOV条約でも自家菜園は育主権の損害にならないとしていた。杉山課長も今の農水省の立場でも自家菜園にまでは効力は及ばないとしていた。ただし、他者に売ったりするとダメである。

会場質問 GMOで5%以下でも表示できなくなると言われたが、これは無農薬や有機野菜としての表示もできなくなるのだろうか。

山田正彦 その可能性はある。有機が貿易障壁になるということをスイスのシャーナ弁護士から教えてもらった。けれども、我々は負けてはいけない。それは我々の権利である。日本の裁判所はあてにならないが各国の裁判所はグリホサートにしても危険だと言い始めている。

 実はSDA条項は米国にとってもよくないとトランプ大統領も言い始めている。EUはお互いにSDA条項を使わないようにしようと決めた。どちらかというとSDA条項は下火になって来ているのである。そうした動きをいち早く世界の国々は見ている。だから、メキシコもUPOVを蹴ったし、メキシコもマレーシアもTPPから離脱するかもしれない。世界は動いている。我々の戦いは最終的に勝つ。あきらめないでがんばりましょう(拍手)。

編集後記
 山田正彦元農相は本当にポジティブである。若いときに農業経営で失敗し4億円も借金し、「ちきしょうめェ」と選挙にでるも3回も落選する。普通は、ここで挫けてしまうのだが、それでもめげずに見事選良となり、大臣にまでなる。こうした人はやはり違う。小川町へは池袋から東武東上線に乗って、快速で66分もかかる。日曜日の早朝の電車は比較的空いている。ということで山田正彦元大臣と乗り合わせ、たっぷりとお話をできるという恵まれた機会を得た。そして、その前向きなエネルギーをたっぷり受けた。何が言いたいのかというと発想の違いである。
 印鑰智哉氏は本当に真面目な人物で深刻に日本の未来を憂えられている。例えば、グリホサートについて紙智子参議院議員が6月7日の農林水産委員会で厳しく斉藤農相を追求したことについては、姉妹ブログ、2018年6月15日のアグエコ堂の記事「幕下と大関~相手の土俵にたって戦うこと」でも書いた。

「農薬取締法改正案の41条を受けてEU等の世界の動きに対しても機敏に反応して対処すべきだ」との鋭い質問に対して、「自らも農薬の安全性をモニタリングし、安全性に対する重要な知見が明らかになった場合には、再評価をまたずに随時評価を行い、登録の変更を行いたいと思っております」と答えざるをえなかったのだ。これを大変な快挙だとして書いた。けれども、印鑰智哉氏は「ラウンドアップの件ですが、政府は御用学者にラウンドアップは安全だとの再評価書を作らせており、安全ということで最大400倍に緩和しているというのが立場だと思います。ただ、フランスなどの3年以内禁止公言を受けて、検討するそぶりは示さなければならないということではないかと思っています」と悲観的に分析する。つまり、ポーズだけ御用学者に安全と言わせるということなのだ。

 けれども、この話をしたところ、山田正彦さんの反応は違った。

 まず、安全性に対する重要な知見はすでに明らかになっているのだし、斉藤大臣が「早急に見直す」と言っている以上、変更をしなければ「なぜやらない」と追求できる。そして、検討した結果、欧米基準にあわせるとなれば、とりあえず、私たちの安全はかなり守られることになる。
 では、印鑰智哉氏が言うように御用学者に検討させて「400倍でも安全であることがわかった」との結論に達したらどうなるのか。

 山田正彦さんは「訴訟する」と言った。そう、その手があったのだ。

 印鑰智哉氏が指摘するように、ヨーロッパにおいてはラウンドアップが安全であるとの根拠となっている論文がモンサントの社員によって書かれていることがマスコミに暴露されてから収拾がつかなくなっている。日本で同じことをしたらどうなるか。山田正彦さんは「いのちがかかっている」だけに捏造をしたら加計問題どころではなくなるだろうと言う。もちろん、講演でも主張されたとおり日本の裁判所は頼りにはならない。けれども、却下されたら却下されたで、その事実を「ヨーロッパでは却下されないのに日本では却下されました。同じホモ・サピエンスなのに奇妙ですね」とマスコミが報じてくれれば、「おかしい。そんなモノは安くても買いたくない」と国民が気づく。結果として、エシカルコンシューマーが誕生していくことになる。

 けれども、その際に重要となるのは「表示」であろう。除草剤を見ても「グリホサート」と混入成分が書かれていなければ知らずに使ってしまうし、豆腐や納豆を買うにも「遺伝子組み換えでない」との表示がなくなってしまえば、購入時に判断できなくなってしまう。

 そして、今回、山田正彦元農相は講演会で「コンタミが認められたら一切遺伝子組換えでないと表示できないというものだ。消費者庁は先日、400人もの関係業者を集めて説明会を行い、年内に「0以下でないと表示できなくする。検出したら直ちに指示して公表します」と言っていたため、どの業者もビビっていた」と語られた。

 実はこのことを聞くのは初めてではない。2018年3月4日付のブログ「食の安全とタネの話〜安田節子・山田正彦氏質疑応答」で安田節子さんが「良心的な業者さんが一生懸命入っていないとやっているものが存在しなくなってしまうと。米国の思う壺だと私は思っているんです」と述べていることを書いた。だから、「とうとう、やりおったか」とこれが私にとっては一番の衝撃発言であった。そして、種子法廃止と同じくマスコミは黙りを決め込んでいるのである。本来ならば「GMO表示廃止、米国からGMOダイズ輸出圧に屈す」とデカデカとマスコミが報じなければならない一大ニュースではないか。しかも、ネットで調べてもヒットしない。ということで、一番詳しいルナ・オーガニック・インスティチュートを主催されている安田美絵さんに確認してみた。

 同女史の「サルでもわかる遺伝子組み換え」の3月14日付の記事「遺伝子組み換え表示制度検討会第10回H30.3.14ご報告」等では詳細なやりとりのデータがゲットできるからだ。

「消費者庁が説明会を開催しているのは事実です。東京で2回開いています。参加したのは大部分が業者ですが私のような一般人も参加できています」

「で、山田さんが言うようにビビっていたんでしょうか」

 そう問いかけると、「山田さんは何事もちょっと大げさに表現されますからね」と笑った。山田正彦さんの直感は超一流だし本質は間違っていない。しかし、本年中に表示がなくなるというのはアジテートのしすぎで危機感のあおりすぎではないか、と安田美絵さんは冷静に分析する。

「0.5%から検出限界までの0.01%までの間も表示することは認められています。そして、どのように表示していくのかをこれから数カ月〜1年ぐらいをかけて検討していくというのが消費者庁のスタンスなんです。ですから、いきなり表示がなくなってしまうというのは山田さんの煽りです。とはいえ、消費者にひたすらわかりにくくさせたいという意向を消費者庁が持っていることは間違いありません。ですから、私は99%は含んでいないとかの表示がわかりやすくていいのではないかと思っているんです」

「なるほど。99%ですか」
20180626.jpg「技術的にそれが可能であり事実であればそう表示することを否定できないと消費者庁も言っています。あと比較的楽なのは「ほぼ」ですね」

 ほぼ。なるほど。ソフトバンク白戸家のCMでは名優、松重豊氏の「ほぼシリーズ」がヒットしているではないか。
 ということでこれからは「ほぼ」にこだわるのが大事になってきそうである。
【画像】
白戸家の画像はこのサイトより
(2018年6月25日投稿)
(2018年6月26日改正)


posted by José Mujica at 22:21| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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