2018年07月29日

ミネラルとビタミンが大切〜内山葉子医師の講演会

 7月29日、長野県千曲市戸倉創造館で「子どもたちの笑顔のためにドクターから見た医食住同源」と題して、内山葉子医師の講演会があるというので、Nagano農と食の会のメンバーらともに聴講した。以下は、その要旨である。

野菜食と人とのつながりが長寿の理由

 空港を降りてからも山が見えて自然の香りが聞こえる。長野は蕎麦が有名で、うどん屋がほとんどない。ガスト、吉野家などはあるが、ファーストフード店も少ない。小麦製品がメインの香川は糖尿病が多い。なぜ、長野が長寿になったのか。よく言われるのは塩分制限だが、日本でも野菜の消費量が一番多い。それが理由ではないか。そして、隣とのコミュニティも大事である。皆さんのネットワーク、そして、野菜を食べることが長野の長寿の理由ではないか。

考えなければ薬害、食事の質、環境毒の人災で病気にかかる

Yoko-Uchiyama.jpg 今日は、どのような考え方で私が医療をやっているのかを話してみたい。関東圏では話題にならないが、西日本では連日、痛ましい報道がなされている。けれども、これは天災ではなく人災ではないかと思う。土砂崩れ、そして、杉や檜のように根が浅い人工林、そして、多くのダムを作ったためだ。そして、二次災害が多く起こっている。ニュースは天災として扱っているが、今、様々な人災が起きている。グローバルに考えないと病気になってしまう。

 それでは何が病気を作るのか。よく言われるのは、遺伝、変異、食べすぎ、生活習慣だが、薬の害、食事の質、そして、環境毒はほとんど議論されていない。

 毒の9割は外から入ってくる。環境の毒についてはみなさん、気づいていない。そこで、知ることが大事である。知ることによって予防できる。それが大事である。デトックス。スムージーをとることがおしゃれでブームとされているが、正しいデトックスを伝えたくてこの本を書いた。知ることで毒を取り入れないことは可能だ。ゼロは難しいが、悲観的になる必要はない。そして、できれば、私の病院に来るのではなく、病気にならない身体になってほしい。病気にならずに自分で身を守ることが大事である。

 まず、プラスチックの製品が体に悪い。それはホルモンのバランスを崩す。世の中は、ペットボトルだらけだが、ステンレスのボトルにお茶を入れればいい。おもちゃも安全なものがいい。安かろう悪かろうである。木でできたものがいい。お値段に対する価値観を見直すべきである。

 そして、有害な金属も溢れている。築地の移転先が話題になったが、東京ガスが1980年代に止めているのに未だに有害物質、ヒ素が出ている。PCBも50年経過しても消えない。こうした土地を流れた水や魚を経由して多くの病気が起こっている。

 缶詰や歯の詰め物でも昔は水銀が使われていた。中国から水銀も来るし、飛行機からは鉛が入ったガソリンが落ちてくる。そして、薬剤も危険である。ほとんどの人が農薬を散布しているときにもガスマスクをつけていない。このため、田舎の方が病気が多い。けれども、誰も農薬が原因だとは思っていない。関節が痛いのは年のためだと思っている。

 そして、食べ物も危険である。化学調味料、遺伝子組み換え、そして、種子法も廃止された。女性のナプキンもそうだが、匂いが強い洗剤が出ている。「香害」である。そして、電磁波、ブルーライト。ブルーライトも脳のバランスが崩れて寝られなくなる。

 正しいデトックスやキエーションではなく、きちんとしたことをすることが大切である。

 さて、怖い研究がある。15年前の研究だが、赤ちゃんの臍の緒をチェックしたところ、413種の化学物質を検査して見たところ287種もの化学物質がでた。うち、212種類はすでに30年前以上から禁止されていた物質である。そして、180種類は発がん性。208種類がホルモンバランスを崩すものが入っている。それは、ごく普通に身の周りで使われている物質なのである。

住宅が変わった〜密閉した部屋ではカビ毒にやられる

 以前の家は自然の素材で、呼吸する畳、湿気を通す空間もあり、部屋の間にも空気を通す隙間があり、湿気を吸う土壁や木であった。寒いという欠点はあったが、囲炉裏を使っても窒息することはなかった。これが機密性を追求することで多くの薬害とともに生きなければならなくなった。

 空気穴を塞いで24時間換気にしても、空気は循環できはしない。そして、多くの有害物質に晒されるようになった。ホルムアルデヒドやブルーライトも多くなり、電磁波も発生している。こうした物質を知らず知らずに摂取している。

 ちなみに、不思議なことなのだが、伝統的な家屋に住んでいる人には化学物質過敏症の人はいない。なぜか。伝統的な家屋はカビとともに生きていたから問題がないのである。そして、カビが腸内にいる人が病気が発生している。

腸内細菌が話題になっていても腸内細菌を殺す生活をしている

 また、酵素も大切なのだが、これを阻害する。さらに、内分泌撹乱物質は、ホルモンとよく似た働きをするためにホルモンの働きをぐちゃぐちゃにして、腸内細菌にダメージを与える。除草剤、抗生物質、農薬はいずれも似ている。そして、腸内細菌が大事なのである。

 最近、よく腸内細菌がブームになっている。だから、頑張ってヨーグルトを取っている。私たちは一人では生きていない。けれども、腸内細菌を殺してしまう農薬の方は気にしていない。水道水をそのままシャワーで使う。このため、ミトコンドリア異常、自己免疫異常が起きる。

 多くの環境毒は、女性ホルモン、エストロゲンとカタチが似ている。以前には「環境ホルモン」と言われていたが、これがいわゆる女性ホルモンと似た物質である。コレステロールは大切である。そして、ここから、ビタミンD、Bile Acid、Pregnenoloneができる。女性ホルモンを受け取っているのは、膵臓、心臓、血管、脳、甲状腺、骨、腎臓であったりする。けれども、それは、血管がプルプルしている。癌にならないといった女性ホルモンと同じ働きをしてはくれない。このため、働かなくなってしまう。このため多くの病気にかかるのだが、その原因は外から摂取している有害物質だったのである。長期的な効果がなくても、短期的に効果があれば、例えば、食品防腐剤のように簡単に目先の損得のために使われてしまう。結果として、次の世代にしわ寄せがいく。

野菜を取らず腸内細菌が減るとカビが腸内で繁殖する

 さて、この3月に「お腹のカビが病気の原因であった」という本を出した。前にも述べたように日本人はカビとともに生きてきた。そして、カビによって多くの発酵食品が作られてきた。けれども、これが過剰に増えたため「腸内真菌症」が出ている。

 腸内細菌の餌となるのは、繊維質、ビタミン、ミネラル、らっきょう、梅干しだが、これらを食べていない人は、腸にカビがいる可能性がある。抗生物質は細菌を殺すといわれているが、カビは真菌であって細菌とは違う。細胞壁があり、細胞膜は主にエルゴステロールでできている。この真菌は抗生物質では死なない。そして、普通は1%くらいしかいないのだが、抗生物質で他の細菌が殺されてしまえば、空隙を埋めてどんどん増えてしまう。しかも、その成長の仕方によって、蔦状に生えていくために、リーキガットを引き起こす。このリーキーガットで様々な有害物質を腸が通してしまうようになるため悪循環を引き起こす。カビの餌は甘いものなので血糖を下げさせる。そこで、多くの糖質がまた食べたくなるという悪循環を起こす。

パンと牛乳がカビを増やす

 カビの代謝物としては、アルコール、アラビノース、シュウ酸、酒石酸、トリカバル酸、グリオトキシン、マンナン等が発生するが、それをもっとも増やすのが、パンと牛乳、輸入果物である。自閉症の子どもに対して、パンと牛乳をなくして見ると良くなるという治療経験をした。とはいえ、全員が牛乳やパンが悪いわけではない。だいたい3週間止めてみれば反応がでる。反応が出なければ、その人は牛乳とパンをやめる必要はない。

 また、身体に良いといわれている発酵食品、ビール酵母、甘酒は良いと思われているが、これもカビの危険性がある。そういう人が密室に住んでいると悪循環を起こす。トウモロコシ、コーヒー、小麦、大麦、砂糖、ピーナッツ、アルコール、ソルガム、コットンシード、チーズ、鰹節、抗生物資がカビの原因である。そして、コーヒーも危険である。

 加熱しているからと言ってもカビ毒はマイコトキシンは消えない。100℃以上に熱しても消えない。そして、オーガニックも防腐剤を使っていないために逆にカビが増えている可能性がある。

 カビ毒は、DNAやRNAと結合して細胞の再生や分裂を障害し、ミトコンドリアに障害を与える。このため、気分が変動し、集中力がなくなり、皮膚炎があり、お腹が張る。多くの病気がカビと関連している。

 これ以外にも、カビを発生させやすいものとしては、遺伝子組換え食品、ピル、ステロイド、不妊治療に使われるホルモン、エストロゲン様作用する環境物質。さらに、ネオニコチドがある。ネオニコチノイドは神経毒である。このため、トンボやハエも減っている。

浄化能力には土壌細菌が作っているミネラルが不可欠

 さて、人間には毒を出す能力がある。それが酵素である。この酵素を発生させるにはミネラルやビタミンが必要である。補因子だが、これが不足している。では、それはどこに由来するのか。土である。土から出てくる植物、それを食べた動植物。そこからミネラルをもらっていたのだが、今、土の匂いが変わってきている。昔の土はいい香りがしていた。それが今の土は匂いがない。先週、京都で講演をして、ある無農薬をしている人のところに行った。そこには、昔の景色が残っていた。無農薬ではサワガニもいた。土が痩せるとミネラルが減ってくる。今、稲が痩せていてレンゲも咲かない。桃色のジャンボタニシの卵もやたらに多い。

 では、ミネラルはどこから来るのか。それを作っているのは土の中の微生物である。このミネラルが化学物質を解毒していたのである。お腹の中も土と同じだと思ってほしい。土を大事にできなければお腹も大事にできない。そして、解毒を阻害するためにさらに毒まみれになるという悪循環に陥る。

遺伝子治療よりも酵素のトラブル、ミネラル不足が原因

 さて、今、遺伝子検査が進んでいる。ファンケルもやっている。そこで、このビタミンを飲もう。このサプリメントで防げるということになるのだが、それは大嘘である。ほとんどの遺伝子のトラブルは酵素のトラブルである。たとえ遺伝子のトラブルがある人だったとしても数パーセントは働いている。100%働かない人は生きて産まれることはできない。そして、酵素を働かせているのはミネラルである。例えば、ALPという酵素はタンパクだけでは働かない。この構造を見れば亜鉛やマグネシウムが作っていることがわかるだろう。

 そして、99%は一緒にいる常在菌のDNA、1%が私たちのDNAである。私たちの体でミネラルを合成してくれているのは菌である。それが内側から解毒しやすくしている。となれば、日常で食生活に気をつけたほうがよほど正しい予防となる。

 さて、ミネラルを測定するには、血清、赤血球、毛髪、尿等の方法があるが、これは排泄能力を見ている。水銀が出ないとすれば逆に大変である。また、今、手のひらで測定する検査もある。菜食主義でヨガ教師でもミネラルバランスが悪い人がいる。

 今、新しく出た本が私の集大成である。もともと私は腎臓内科医である。それには治療がない。薬をやめることから始めていた。そこで、栄養とか酵素の阻害に関心を持った。そして、栄養素に着目するようになったのは、自閉症スペクトラム、発達障害の子どもを見る機会が増えたためである。そして、毒を出すことがこうした子どもたちは苦手であるため、毒だらけの本を出した。そして、腸の検査をしてきてカビの本を書いた。そして、腎臓内科医として一貫した考え方で本筋は同じことを書いている。

 私たちは私たちでは生きていけない。誰かに何かをしてもらうのではなく、自分で考えることが大事である。よく質問がくるのが、「このヨーグルトはダメですか」というものだ。自分で判断してもらいたい。自然がいい。バランスを取ってほしい。正しいものがわかる目や心を持ってほしい。本当のことを言っている人のところにいってほしい。

編集後記

 ミネラルが重要であることは知っていた。けれども、アルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase、略号:ALP)の構造を実際に見せられるとその重要性がわかる。そこで、懇親会場で「食べ物からミネラルが減っていることは深刻な問題なのではないか。それは、ラウンドアップの主成分、グリホサートが一番問題なのではないか」と聞いてみた。すると、直ちに「グリホサートは強力なキレート剤なのですからそのとおりです」との明瞭な回答がストレートに返ってきた。実にいい。そこで、さらに突っ込んだ質問をしてみた。それは、講演のなかでも少しだけ言及されたホメオパシーだ。

 野口法蔵師の坐禅断食会でも、ホメオパシーは話題にでた。もともとホメオパシーを実践されている方が断食会に参加していたこともあるが、法蔵師本人が「インドというとアーユルヴェーダが有名ですが、あれは都会の裕福な人たちの医術であって、農村で一番浸透しているのはホメオパシーです。マハトマ・ガンディーがホメオパシーの考え方にインスパイアされ、農村でもできるとして普及させたからです」と法話で話をされていたからである。

 そこで、その話題を口にしてみると、内山医師は野口法蔵師はしらなかったが、その師匠にあたる甲田光雄医師の名前は知っており「ほとんどお金がかからないから普及性があります」と述べられた。そこで、本当にホメオパシーには医学的エビデンスがあると信じているのかとさらに嫌な質問をしてみると想定外の言葉が返ってきた。

「あなたはご存知ないと思いますが、ホメオパシーを世界で最も普及させ、実証試験をしたのはキューバです。コンセプシオン・カンパ博士がマラリアを防ぐために250万人単位のオーダーでのホメオパシーを実施し成果をあげているのです」

「なに。キューバだと」

 この情報そのものはたまたま私は知っていたし、法蔵師の坐禅断食会でもその話題を話したばかりであったのだが、いったい内山医師は、どこからこのようなマイナーな情報をゲットしたのであろうか。するとキューバと日本とで代替え医療の協定が結ばれ、それを記念したシンポジウムに参加したからだという。

「失礼ですが、それは2017年の7月に東大医学部と京大の『こころの未来の研究センター』で広井良典教授が開催されたシンポジウムでしょうか」と聞くと「そうです。私は東大医学部の方に参加しました」との答え。「実は私もその会場にいたのです」と言うと「会場で質問した女性がいたでしょう。それが私だったのです」と内山医師は答えた。

 誰か質問していたのは記憶にあるが、老化が進んだ脳ではわずか1年前のことすらよく思い出せない。そして、その時、私の隣の席で、キューバの医師がホメオパシーについて説明するのを興奮しながら聞いて「バッチのフラワーエッセンスすら研究している。これは凄いことなの」との感想とともにホメオパシーについての私の理解を深めるサポートをしてくださったのは、当時東大で贈与経済の学位論文を書きあげられたばかりのO博士であった。O博士は東大に在籍しているだけあり、医学部にも美味しいレストランがあることを教えてくれ、そこで昼食をとりながらシンポジウムの会場に向かったのであった。

 通常であれば、こうしたエピソードがあったとのメールを出せば、頭脳明晰なO博士のことである。「瞬時に、ああ、昨年のちょうど7月に会場の中程で質問していた○○という人でしょう」という正確な情報が補足感想とともに返ってきて、私の老化して低下した脳の記憶機能を補完してくれるはずである。けれども、残念ながら、そのO博士はこの春に天に召されてしまってもういない。Nagano農と食の会にも良く参加される坂城の有機農家、大内英憲氏とも懇意にされていたのだが、最初の訃報はNagano農と食の会の場で大内氏から聞いたのだった。思えば、フランスのレンヌ第一大学のマルク・アンベール教授が来日。上田で講演され、教授夫妻を上田駅に送迎した後、大内氏とO博士とともにフランスから東大大学院で研究中のペネロープ女史とともに入った温泉はまさに今日の会場の対岸の上山田温泉の瑞祥だった。そして、3月末に出版されたアンベール教授と西川潤教授の『共生主義宣言』コモンズを拙宅におくってくれたのがO博士からの最後の手紙となった。どうも、ホメオパシーの質問を今日という日に内山葉子医師に対して私の口から出させたのも、私のホメオパシーへの理解を深めるためにあの世からの故O博士の支援であるような気がした。

内山葉子医師の画像はこのサイトより


posted by José Mujica at 21:28| Comment(0) | 講演・学習会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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